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あのCIAが"気象を人工的にコントロールする"研究に興味を示しているとの情報が突如明らかになった。
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■敵対国の気象研究を懸念か? CIAからの質問に恐怖を感じた専門家
今回波紋を呼んでいるのは、アメリカ中央情報機関(CIA)が、専門家へ気象兵器の存在を暗示する質問をしていたという、英「The Guardian」紙の記事(2月)だ。
CIAが気候変動に関する研究に対し資金提供を行なうプロセスのなかで、気象研究のエキスパートであるアラン・ロボック教授と電話会談を行なった際に「他の国がこの国(アメリカ)の気候をコントロールした場合、我々はそれに気づくことができますか?」という質問があったのだという。
この質問と研究に資金提供しているという事実から、ロボック教授は「彼ら(CIA)の質問の意図には逆に『アメリカが気候をコントロールした場合、相手国はそのことに気づくか?』という本音があるのだろう」と懸念している。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書作成にも大いに貢献してきたロボック教授だが、彼が携わった報告書(大気から二酸化炭素を除去するための手段、雲を変化させる方法、太陽光線の反射に関するものなど)の研究費用の一部をCIAを含むいくつかのアメリカの諜報機関が資金援助していたことにも触れ「彼ら(CIA)は明確な理由の説明がないにも関わらず本研究の主要な資金提供者であった。それだけに私は、気候を支配しようと試みている者が現実に存在しているのが心配でならない」と語っている。
■天気の変化=原因と犯人を不明にできる――気象兵器研究と実用例
大国アメリカがそんな野望を抱いているかもしれないという可能性に驚く人も多いことだろうが、この気象兵器というもの自体は、実は過去に実践的に使用されたことも含め、はるか昔から研究自体は進んでいた。
例えばベトナム戦争中にアメリカ軍が極秘に進めていた気象操作計画「ポパイ作戦」があるが、これは合衆国政府軍の戦況を有利に進めるために敵対する国と地域の雨季を長引かせる目的で特殊な技術を用いて雲を発生させ、実際にタイ、カンボジア、ラオスなどの対象地域においておよそ30日間から45日間雨季を長引かせている。
しかしながら、のち1975年のジュネーブ軍縮会議、および1976年12月に採択され1978年10月に発効された通称「環境改変兵器禁止条約」において、地震や津波を人工的に起こしたり台風やハリケーンの進行方向を変えるなどの技術を開発したとしても、軍事的な目的での使用を禁止している。
とはいえこの条約には罰則はなく、しかもこの「環境改変」は誰がやったか判り難く、いわばサイバー攻撃のように犯人の特定が難しい技術である。もし、仮にアメリカが何らかの方法を試したとしても出所を不明にできるというメリットがあるというわけだ。そしてそれこそが、この研究開発、さらには技術の獲得を科学者らが恐れる理由でもある。
今回CIAからの質問に対応したロボック教授も「気象を変化させる研究は、オープンになるべきです。国際的にそうあるべきです。そうでなければこういった技術が軍事的な目的のために使われることになってしまう」と述べている。果たしてCIAの本当の思惑とは一体なんだったのか、また今後人工的な自然災害が起こることはあり得るのか……?
気候、天気というものは、きっとあなたを含めこれまで多くの人々がその決定権や発生のメカニズムを地球や太陽、宇宙の自然現象のみが握っていると考えてきたであろう。特に我々日本人にとっては、こと台風や津波が生活に大打撃を与えうることを身をもって体感している。その存在だけで恐怖を与えるには十分なものなのである。
いずれにしても、気象やそのコントロールについては今後も様々な研究が進められていくだろう。そのうちのいくつかだけでも平和利用される未来を願ってやまない。
(文=ODACHIN)