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開幕まで2週間を切った。今季のセ・リーグは黒田博樹の復帰で近年にないチャンスを手にした広島が優勝候補の筆頭だろう。阿部慎之助らベテランの力が落ちている巨人は大きな補強をせず、他球団との戦力差は縮まっている。
そんな中、台風の目となれそうなのがDeNAだ。昨季2ケタ勝利が久保康友(12勝6敗)と井納翔一(11勝9敗)の2人だったところに、おもしろい存在が加わった。
ドラフト1位の山崎康晃(亜細亜大)だ。最速151キロの速球に加え、ツーシームやフォークなど多彩な変化球を投げ分ける。キャンプではナックルボールも試していたそうだが、とにかく安定感を感じる。新人王候補とみている山崎が加わり、山口俊(8勝5敗)、モスコーソ(9勝9敗)と先発5枚が確定。クローザーに前ソフトバンクの岡島秀樹(4勝4敗27H)も加わり厚みが増した。
広島ばかりが騒がれるが、DeNAにも上位進出のチャンスを十分に感じてならない。
まだ「勝負師の顔」にあらず
打線の注目は4番の筒香嘉智。横浜高校の後輩でもあり注目していたが、5年目の昨年は22本塁打で打率3割をマーク。出塁率も.373に達した。
課題は「4番の重責」をどこまで担えるか。これまで1年フル出場したことがなく、「勝たなければ」というプレッシャーの中で野球をしていない。
3月10、11日の侍ジャパンのゲームでは「5番DH」で2試合とも1安打ずつを放ったが、顔つきに甘さを感じた。「勝負師の顔」になっていないのだ。前回の中田翔でも話したが、野球選手はくぐりぬけた「修羅場の数」で顔つきが変わってくる。
【プロ野球】日ハム・中田翔が「大物感を欠く」理由
デビュー当時と現在の田中将大を比べるとわかる通り、彼のマウンド上での顔つきは年々険しくなっていた。ソフトバンクの柳田悠岐も、フル出場した昨年を経て顔つきがガラリと変わっている。
しかし、筒香にはその変化を感じない。まだ、やさしさが見えるのだ。悲壮感のある顔つきになってくれば本物で、そうならねばDeNAの躍進はありえない。
技術的な弱点は「入ってくるボールには強いが、逃げていくボールに弱い」。誰しもそうなのだが、左打者として「左投手が投げる外へ逃げるボール」に弱い面がかいまみえる。ボールに向かうバッティングができるかどうかもカギだ。
「二軍並み」の守備力を打撃で跳ね返せ
打撃以上に大きな不安が守備だ。昨年はBクラスの戦いでミスをしても大きく取り上げられることはなかったが、外野手として6失策を記録した。…