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「妻の『連れ子』って言い方は変」
何て言えばいいのか。戸惑うことがある。「子どもがいるの?」と聞かれ、「小学生の息子が」と答えた途端、驚かれる。「妻の『連れ子』って変な言い方だなって。僕の息子なのに。いい言葉がないですよね」
妻との出会いは3年ほど前。行きつけの飲食店で一目ぼれし、猛アタックした。その後、離婚して小学生の息子が1人いること、自分より7歳年上ということを知った。想像もしていなかったが、「僕は彼女が好きだからいい。悩んだのは、息子がどう思うか」。
5歳で両親が離婚
思い出したのは、幼い頃の自分だ。一人っ子で、5歳のとき両親が離婚。米国フロリダ州から、東京都東村山市で母親と生活することになった。母は会社を立ち上げて忙しく、さびしかった。
そんなとき、母の会社の男性社員が、一緒にテープを丸めて投げて遊んだり、原宿に連れて行ってくれたりした。男同士の会話や遊び方に驚き、楽しかった。「父親でなくても、僕には大きな存在だった。だから僕も、おせっかいかもしれないけど、お父さんというより、心の隙間を埋めるお兄さんにならなれるかな、彼の近くにいてあげたいと思いました」
彼女と息子と3人暮らしを始めた。息子とは「とにかく一緒に遊ぶ」。ゲームで負けて息子が泣いても、手加減せず全力で。
結婚の決め手は、彼女が妊娠したことだ。2人で喜びあった。ただ、妻の方が覚悟がいるだろうと思った。息子がどう受け止めるのか、赤ちゃんに手がかかり愛されていないと思うのでは……。妻の不安もよくわかった。「乗り越えられるから大丈夫。楽しいことの方がいっぱいあるよ」と伝えた。
「うざいくらいちょっかい」
昨年2月に結婚、5月に娘が生まれた。
朝早く、近くの喫茶店に子ども2人を連れて行く日もある。育児で疲れる妻にゆっくり眠ってもらえるし、息子と男2人で話もできる。「普段忙しくて話もしないお父さんが、急に2人きりになって子どもに何か聞いても答えてもらえないですよね」。常に家族の情報をアップデートできる関係でいたい。「家でも、うざいと思われるくらいちょっかいを出します」
家にいるときは、娘のミルクやおむつ替え、入浴、寝かしつけ、掃除、ゴミ捨てなど、育児も家事も全てやる。「できますよ。だって、僕が仕事の時は全部妻がやる。僕の方が体力あるのにできないなんてありえないでしょう」。家事を終えてソファに座り、家族が見えた瞬間が幸せだ。
理想の家族の形はあるのだろうか。「お手本にしている家族はいません。なりたいと思っても、状況も違うので」と即答した。「自分たちにとってハッピーなことは何かを考えています。家族のあり方や形って、いろいろでいいと思います」
(文・大井田ひろみ、写真・瀬戸口翼)