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かつてテレビには、「司会者」という職業が存在していた。たとえば児玉清であり、愛川欽也だ。あるいは大橋巨泉や石坂浩二、草野仁や生島ヒロシもそう呼ばれていた。普段は役者業をしながら、あるいはアナウンサーとしてその地位を確立した後、彼らは「司会者」としてテレビショーの進行を務めた。だが2015年現在、「司会者」と呼ばれるタレントはそう多くはない。多くの場合、番組での進行はいわゆる芸人が務めるようになり、結果として「司会者」というポジションは特別なものではなくなった。
だが近年になって、この「司会者」という役割に日が当たり始めている。テレビ朝日系『パネルクイズアタック25』の司会がこの4月から谷原章介に代わるというのは、その一例だといえるだろう。番組の性質もあるが、視聴者の嗜好として、そろそろ攻撃的な番組ではなく、落ち着いた雰囲気の番組を見たいという欲求がおそらくそこにはある。特に年輩の視聴者にとっては、その傾向は強くあるだろう。
それでは今、「司会者」の椅子を狙えるタレントはどこにいるのか? その答えのひとつが、3月16日に放送された『草なぎ剛の第23回がんばった大賞』(フジテレビ系)にあった。この番組における草なぎ剛の司会ぶりは、草なぎ剛にしかなし得ない、非常に独特なものだといえるだろう。
この番組の特殊な点は、バラエティ番組には普段あまり出演することのない俳優・女優が多数出演しているというところにある。『問題のあるレストラン』『残念な夫。』『デート ~恋とはどんなものかしら~』『ゴーストライター』『銭の戦争』に出演する役者陣が一堂に会して、それぞれの収録現場でのNGシーンを見て楽しむという趣旨だ。ここで最も重要なのは、出演する役者陣に負担をかけず、できるだけリラックスして番組に参加してもらわなくてはならないという点である。通常のバラエティ番組のような攻撃的な笑いではなく、俳優・女優の自然体の魅力を引き出すというのが、この番組の「司会者」に求められる仕事なのだ。
この意味で草なぎ剛の司会は、見事というほかなかった。果たして彼がどのようにして役者陣の自然体の魅力を引き出したのか、3つの例で紹介してみたい。
(1)司会者であることに照れている
番組の冒頭は、NGシーンのVTRから始まる。それを受ける草なぎ剛の言葉が、スタジオの一言目だ。草なぎ剛は、明らかに台本に書かれていたであろうセリフを、おそらく一字一句違わずに視聴者に伝える。…