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詠舞台「蟲師」、そこに新しい表現の可能性がある

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詠舞台「蟲師」、そこに新しい表現の可能性がある

 詠舞台「蟲師」、そこに新しい表現の可能性がある

 連載第110回
 高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義  
 [取材・構成: 高浩美]
 
 ■アニメの映像や音などの素材を再構築して空間を創り、
 そこで物語を詠み聞かせる事で、
 より『蟲師』の世界へ没入できるのではないかと思った。
 
 『蟲師』は、1999 年から 2008 年まで月刊アフタヌーン(講談社)で隔月連載された 漆原友紀原作の人気漫画だ。2005 年アニメ化(長浜博史監督作品)、2007 年には 実写映画化(大友克洋監督、オダギリジョー主演)された。翌年 2008 年には、『蟲師 天降る里』がゲーム化された。2014 年には続編のアニメ化(長浜博史監督作品)が放映となった。
 連載から およそ15 年経つが、『蟲師』は様々な展開がなされているのである。2003年には文化庁メディア芸術祭・漫画部門優秀賞、2006年の第30回講談社漫画賞・一般部門受賞、2007年の文化庁メディア芸術祭『日本のメディア芸術100選』マンガ部門に選出されている。
 
 主人公は『蟲師』を生業にしているギンコ。彼は様々な『蟲』によって引き起こされる事象に対峙していく。この作品の舞台であるが、架空の日本。ギンコ以外は和装で、描かれている風景もノスタルジックな雰囲気、昔の日本の古き良き時代を彷彿とさせる。
 物語の語り方は人物の回想を用いており、ギンコが行動する時間・行動範囲だけでなく、伝聞による時間・世界も描かれている。
 
 今回の舞台であるが、漆原友紀(原作)と講談社の原作チーム、長浜博史(舞台原案、アニメ『蟲師』監督)とアニプレックス・マーベラスを始めとするアニメチームの全面協力を得た。アニメ『蟲師』の声優陣とともに、270 度にわたって視界を覆う圧巻のビデオマッピングやインターネット中継 での AR 活用など、テクノロジーを駆使する。制作総指揮・演出・脚本の中村和明(ワムハウス)がいまだかつて誰も目にしたことのない、まったく新しいかたちの表現に挑む。
 
 この『蟲師』の舞台化について中村和明は、次のように話す。
 「『蟲師』舞台化のきっかけは、9年前にお手伝いさせて頂いた『蟲の宴』というアニメ『蟲師』DVD上映会イベントで、ゲストとしてご出演頂いていたアニメ声優の方々にやって頂いた[生アフレコ]でした。そこで『蟲師』の世界をリアルの場で再現するには[詠み聞かせ]というスタイルが一番だと確信しました。
 当時は声だけだったのですが、アニメの映像や音などの素材を再構築して空間を創り、そこで物語を詠み聞かせる事で、より『蟲師』の世界へ没入できるのではないかと思い、ただの朗読劇ではない[詠舞台]というスタイルに至りました。…

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