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桜の名所として知られる奈良県吉野町の吉野山にある創業300年の老舗旅館が昨年9月、水道水を沸かした湯の風呂を「天然温泉」と表示していたことが景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、県から是正指導を受けていたことが分かった。旅館によると、温泉水をくみ上げるポンプが昨年8月末に故障し、沸かし湯で代用していたという。しかし、その後も約1カ月、ホームページなどで天然温泉とうたって客を集めていた。
【写真】天然温泉をうたった部分が隠されている「さこや」の看板
旅館「さこや」で、経営者の大村陽会長(78)は吉野町議も務めている。大村会長は「県の指摘まで(景品表示法という)法律があることを知らなかった」と釈明している。
県によると、さこやは2004年10月に敷地内の谷間で温泉を掘削。泉質の分析書を提出し、05年7月に温泉利用許可を受けた。館内の露天風呂などにポンプでくみ上げて「100%源泉かけ流し」と表示し、ホームページにも掲載。吉野山では数少ない天然温泉の宿泊施設として人気を集めた。
ところが昨年9月29日、県吉野保健所に「水道水を利用している」という趣旨の匿名の投書があった。保健所が同日中に確認したところ、ポンプの故障で温泉をくみ上げられなくなっており、水道水を沸かして湯船に張っていたことが判明。「天然温泉」とうたいながら水道水を提供している点が、景品表示法違反に当たるとして、保健所は是正を求める行政指導をした。
さこやは直後に「天然温泉」などと記した看板に張り紙をしたほか、ホームページに「お知らせ」として温泉の一時停止を説明する文章を掲載する措置を取った。ポンプの修理は完了したが、まだ温泉は再開していない。
一方、さこやは行政指導を受けた後の昨年10月、保健所に報告書を提出したが、ポンプの故障時期は「9月23日」と記してある。大村会長は食い違いについて「理由は分からない」と述べている。【伊澤拓也】
◇景品表示法
不当な表示や過大な景品提供などを取り締まる目的で1962年に制定された。食品に限らず、消費者に商品やサービスを提供する業者が、品質や内容を実際より良く見せかけて表示することなどを禁じている。輸入牛肉を国産のブランド肉と偽って表示した場合や、温泉の成分を偽った場合などは、「優良誤認」に当たる。食品偽装問題などを受けて昨年11月、不当表示した事業者に課徴金を科す改正景品表示法が成立した。