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「君が生きた証」のワンシーン (C)2014 Rudderless Productions LLC.All Rights Reserved.
映画「ファーゴ」(1996年)や、米テレビシリーズ「ER 緊急救命室」(94~2009年)、「シェイムレス 俺たちに恥はない」(11年~)などの作品で知られる名優ウィリアム・H・メイシーさんの初監督作「君が生きた証」が21日から公開される。息子を失った父親が、息子が残した曲を歌い継ぐことで再生していく感動作だ。「あの頃ペニーレインと」(00年)でギターの腕前を披露していたビリー・クラダップさんと、「スター・トレック」シリーズ(09年、13年)に出演し、自身のバンドではギターとピアノを演奏するアントン・イェルチンさんの歌声が、物語の感動をあと押ししている。
広告マンのサム(クラダップさん)は、息子を突然の銃乱射事件で失った。息子の訃報を受け止められないサムだったが、別れた妻(フェリシティ・ハフマンさん)から、生前息子が作ったデモCDや歌詞を書き留めたノートを手渡され、初めて自分が息子がどんな思いで生きていたかを知る。サムは息子が残した曲を行きつけのバーで歌うようになり、たまたまそれを聴いたクエンティン(イェルチンさん)は「一緒にバンドをやらないか」と声をかける……という展開。
今作はいってみれば贖罪の話だ。サムは、息子が死んで初めて、自分が彼のよき理解者でなかったことを悔やむ。そのサムは息子が残した曲によって再生していく。再生の旅は生半可なことではない。つづられる物語も重い。だが、数々の素晴らしい音楽によって、物語に一条の光が差す。メイシー監督が「この映画のメインキャラクターの一つに音楽がある」と語っている通り、ここに流れる曲はいずれも、サムや息子ジョシュの心情を見事に表している。そしてそれらすべてが、歌い方次第で明るくも切なくもなる、とても情緒豊かな曲だ。クラダップさんとイェルチンさんの演奏シーンも見どころで、彼らの歌声に心を揺さぶられた。21日からヒューマントラストシネマ有楽町(東京都千代田区)ほか全国で公開。(りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。今、映画「アメリカン・スナイパー」の主人公の回顧録「ネイビー・シールズ 最強の狙撃手」(原書房)を読んでいる。作者がすでにこの世にいないことが思い出されるたびに、胸にズキンと痛みが走る……。