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いよいよ発売迫る! 100組100曲6枚組という超絶コンピレーション『JAPAN IDOL FILE2』が3月10日に発売されます。そのボリュームもさることながら、その内容も凄まじい! 全国各地のアイドルと東京ライブアイドルシーンの楽曲が混然一体となって、アイドルブーム列島を一刀両断にエイヤッと切り出したような鋭さ。100曲100様のアイドルサイドを見せてくれる珠玉のコンピレーションになっています。
今回は、『JAPAN IDOL FILE2』をコンパイルしたライター、南波一海氏にロングインタビューを敢行しました。フットワーク抜群の足と豊かな耳で珠玉のアイドル曲を蒐集、人呼んでアイドル界の柳田國男? ! 7時間に及ぶマインドトラベルを熱く深く語っていただきます。では、いってみましょう。どうぞ!
■いわゆる「いい曲」だけじゃない、面白いものや変なものも入れたかった
――よろしくお願いします! 今作を聴いてまず感じるのが、前作『JAPAN IDOL FILE』(以下JIF)とは全然違うな、ということでした。
南波「前作を作った時に、本当はもっと多く収録するはずだったんですよ。でも、メンバーが変わったり解散したり、アイドルが変化していくスピードが早かったんですよね。使用許可が取れなくなったり、連絡も取れなくなったグループもあって、結局64曲になったんです」
――JIFは全体的に“各グループの代表曲”という感じでしたね。
南波「そうですね、いわゆるいい曲が残った。グルーヴィーだったり、エレクトロのよく出来た曲とか、いわゆる“楽曲派”の人が喜ぶような曲が多かったと思います。でも、今回は『そうじゃなくてもいい曲』もあるんだよ、っていうのを見せたかったのはあります。そうじゃないんだけど、そこが面白い、もっと変な曲だったり。『JIF』が出た2013年以降の曲で、いわゆる『ネクストブレイク』っていうのとも、また違う曲たちが中心ですね」
――今回、DISC1の始まり方がすごく印象的だったんです。山梨出身で音楽的にも面白い「Peach sugar snow」/『人魚~泡になって消えても~』で始まるのは、『JIF』と同じテイストですが、2曲目に東京の、しかも活動休止中の「ヴァンパイア☆Kiss」/『うわさの TRENDY GIRL』を持って来ている。レコライドの佐々木喫茶さん(他にKOTO、Saoriiiiiなどに楽曲提供)作曲なんですね。ものすごくイイ曲!
南波「コレ、本当に好きなんですよ。前作では『(リリース時点で)現役のアイドルの曲』っていうルールがあったんですよ。でも、今はさらにサイクルが早くなって、細分化してますよね。自分がいいと思った曲は、解散したグループや活動休止のアイドルでも可能な限り収録してます」
――さらに3曲目に鳥取出身ですごく評価の高い「Chelip」/『恋愛至上主義』と続いていって、「嫌いな人はいないでしょ! 」っていうような流れを作り出している。山梨、東京、鳥取と地域は関係なく、音楽性でつないでいく、という今作の宣誓のような印象です。
南波「うーん、そこまでは考えてないかもしれない(笑)。とにかく、アホみたいにたくさんCD-Rを集めてそこから聴いて選んで。でも、大体のDISCで、序盤はなるべくキャッチーなものにしようとは考えましたけどね」
――どちらかと言うとカタログ的だった『JIF』に比べて、今作は、音楽的な「作品」「表現」という印象が強くなったと感じます。これを出来るのは南波さんしかいないな、と思うんです。
南波「前作は、たまたまうまい具合に地域がバラけていたのでDISCを地方別に分けられました。今回、また同じように地域別に作ろうとすると、『東北で十何曲集めなきゃ』とか『関東で十何曲集めなきゃ』といった制約ができてしまうので、そこは撤廃しました。地域で音楽性に違いなんてないじゃないですか。音楽性については、大阪はどうだ、福岡はどうだ、っていうものでもない」
――各地にいろいろな音楽性のグループがいますもんね。
南波「地域ごとに分けたり、どの地方に偏っているとか考えるのがバカバカしいな、と思ったんです。それに、元々<ローカルアイドル>っていうカテゴリーそのものは好きじゃなかったんですよ。インディーズのアイドルはいっぱいいるのに、東京だけ外して、46道府県から取り上げるのも変だろう…という気持ちがあって」
――うーむ、そうだったんですね。
南波「地方っていう事でまとめたほうが、企画としてスポットを当てやすいんですよね。自分がいろいろな番組や企画をお手伝いしてきたから、取り上げる側の意図もわかるんです。でも、自分の中でフラストレーションもあって。だから今回は東京も地方も関係なく100曲を集めて、その上で曲順を考えたっていう感じですね」
――今作に入れた曲、入れなかった曲の基準は少し気になるところです。例えば、自分が感じたのは、あ、「クルミクロニクル」が入らないんだ、とか…。
南波「確かに自分の好みを知っている方たちからは『なんでこれが入らないの? 』っていうのはいくつか言われました。ただ、しっかりしたコンセプトのアルバムをリリースしている方については、その作品を聴くべきだろうと。流通もしているので、普通に買えるし。もちろん例外もありますけどね」
■キレイにまとまるよりも、ちょっと引っ掛かるところもあったほうがいいかなと
――では、どんな曲を入れたかったんでしょうか?
南波「今、手に入れにくいものを中心にしたかったんです。店舗には売っていないけど面白いものを入れたいとは思いました。レアモノ自慢っていうつもりでは全然なくて、『いい曲なんだからもっと聴かれた方がいいじゃん』っていう単純な思いです。
せっかく曲を作っても、CDの流通のさせ方がわからないような人たちが、アイドル運営をやっていたりすることもある。そうすると、できたCDは手売りするしかないんですよね。あえて手売りにこだわっている場合もあるとは思うんですけど、やっぱり広く聴かれたいと思っているアイドルは多いじゃないですか」
――母数で言うと、どのくらいの曲数から選ばれたんですか?
南波「うーん、4~5000曲はくだらないと思いますよ。ここ3年くらいの曲から集めていって…。収録したくても叶わなかった曲ももちろんたくさんあります。200くらいまで絞って、そこからさらに100になって。最終的に入れられなかった方の100曲を聴くと、それがまためちゃくちゃいいコンピになるんですよ(笑)」
――それはすごい(笑)。そちらも聴いてみたかったです!
南波「最初は『全部でCD7枚かな? 』って話になったんですけど、なるべく多くの人に手に取ってほしくて、出来る限り価格を低く設定したかったんですよ。1枚70分越えにすればCD1枚減らせそうだということで6枚になりました」
――では、6枚の各DISCについてお伺いしてもいいですか?
南波「かなりざっくりですがテーマが一応あって、それぞれのミックステープを作るみたいに決めていったんですよね。DISC1は、身も蓋もない言い方をすれば『試聴機対応』です。DISC2は『グルーヴ』で考えました。DISC3は『しっとり』かな? 『良いメロディー』っていうのもありますね。
DISC4はそのまま『夏』。曲を集めていったら夏の曲が多かったので、まとめました。DISC5は『変』(笑)。最後のDISC6は、全体的にエンディング感があるというか。『終わり』という感じです」
――各DISCには、そのテーマに収まらない楽曲もありますね。
南波「DISCごとのテーマが前面に出過ぎるのも嫌なんですよね。意味性とか選者のエゴが出過ぎちゃうのも避けたいとも思った。DISC4にも夏曲じゃない曲も入ってるんですよ。もっとテーマ別にはっきり分けることも出来たけれど、そうすると個々の曲よりも、DISC自体が目立ってしまうから、それを避けたくて」
――ただ聴きやすい、というのともまた違うんですね。
南波「キレイにまとまるよりも、聴いている人がちょっとくらい引っ掛かるところもあったほうがいいかなと思ったんです。まぁ、DISC5に関しては、ちょっとどころじゃなく引っ掛かりまくりというか、ここに入れるしかないな…みたいな曲が多いですけど(笑)。でも本当に好きな曲ばっかりです」
――コンピ全体を見回すと、Finolia Factoryの楽曲が多いのが、南波さんのテイストなのかな、とも感じました。
南波「フィノリアは、東京のシーンを語る上で絶対欠かせない存在だと思うんです。あんなにカタログを出していて、歴史も長いのに、どこかミスティックな存在じゃないですか。だから数を絞らないで、いくつか収録したいと思ったんです。本人たちも面白くて、インタビューで好きな音楽を聞いたら、普段から自分たちのレーベルの楽曲を聴いていたりするんですよね」
――おお、なんだかミステリアスですね…!
南波「ただでさえガラパゴスなシーンなのに、その中でもまたガラパゴスみたいな独自の存在ですよね。本当に好きで、正直、フィノリアオンリーのコンピを出したいぐらいなんですよ。次から次にCD-Rでリリースしていて、カタログはずんずん増えていて、どれも謎めいていて、音楽的にも全部面白い…」
――自分はこのコンピでフィノリアの「To You」/『first love』を初めて聴いたんですが、ものすごくイイですよね。独特の抒情があるというか…。惜しむらくは、グループ名が一般的過ぎて…。
南波「検索で引っかかりづらいんですよね(笑)。こういう人たちが東京にいること、もっともっと知られていいと思うんですよ。1曲1曲だとわからないかもしれないけど、束で聴いてもらったらわかる良さもあるかなと思って、フィノリアの音源は全部で6曲収録させていただきました」
■行ってみないと、聴かないと、わからないことがたくさんある
――この膨大な100曲を見ていくと、逆にここに入らなかった楽曲たちを思い出すんです。あの曲は、このコンピにはタイミングが合わなかったな、あの曲もイイ曲だったけど、日の目を見なかったな、とか…。
南波「自分も、この100曲で網羅した気には全然なっていないです。この100曲は、氷山の一角、ほんの一握りでしかないですよ。まだまだこんなもんじゃない。おこがましいかもしれないけれど、こういうのをきっかけに、少しでも裾野が広がったらいいと思ってます」
――でも、その広がった裾野にも行かないといかないから大変ですよね(笑)。
南波「そう、大変ですよ! (笑) ほぼ毎日、twitterやブログでチェックして、ライブやイベントに行ってるから、しんどいところはあります。あるかないかわからないものを探し求めているので」
――各地方のイベントも足を運ばれてますもんね!
南波「そうですね。この「すぺわの! 」/『ひまわり☆ハナビ』は、北九州にあるテーマパーク「スペースワールド」で買ってきたんですよ。通販はやってないから、現地に行って入場券を買って、テーマパークの中の物販スペースで(笑)。ファンの方に教えて頂きました」
――おお、すごい行動力! 頭が下がります…。地方のイベント会場ではじめて知ったグループも多いですか?
南波「たとえば「プランタン」は三重で開催された『戦国アイドルまつり』で初めて見て、すごく面白くて。そこから自分の出演する番組(ご当地アイドルお取り寄せ図鑑)に出てもらったりもしました。三重に行かなかったら出会えなかったかもしれないですね。行ってみないとわからないこと、聴かないとわからないこと、たくさんありますよね」
――うーむ、いろいろな出会いをしたアイドルがいそうですねぇ。
南波「この「月乃あかり」さんの『なるんだ! アイドル』っていう曲は、もともと大学の卒業制作で“アイドルになってみる”っていうのをやっていて、反響を見てみようとしてたらしいんですよ。まったくライブとかやっていなくて」
――えええ、全く、ですか!?
南波「で、Berryz工房のライブ会場近くでCD-Rを配っていて、それをアップフロントの事務所の方が受け取って。その方が僕に『CD-R集めてるんでしょ? 』って手渡してくれて」
――すごい経路!
南波「聴いてみたら、歌がすごいんですよ。そのCD-Rを『アイドル三十六房』でかけたら、Twitterで月乃さんがエゴサして反応してくれたんです。で、番組に呼んだ、と。元々卒業制作でアイドルをやってみてるから、研究したというわざとらしい歌い方とか、イラッとする感じで(笑)」
――たしかに、インパクトがすごいですね(笑)。ちなみに、作曲はどなたがやっているんですか?
南波「えーっと、確かバイト先の人だったかな? (笑)。デザイン会社の方で」
――うわ、めちゃめちゃ狭い(笑)。
南波「今、大学や専門学校関係もアイドル多いですね。この「美塾女アイドル 5W1H」は、Negiccoが筑波大のライブに出たときに、嶺脇さん(タワーレコード社長)がCDをもらったんですよ。メンバーに筑波大の子がいて、大学生アイドルが受験生を応援するっていうコンセプト。この楽曲はちょっとEspeciaライクな感じなんですよね」
――いろんなコンセプトのアイドルがいますよね。
南波「いろいろいますよね。最近も、日本工学院が授業の一環でアイドルを結成して、それが解散するっていうから解散ライブを見に行きましたよ、その日しかCD買えないから(笑)。就職活動応援グループ「蒲田VICTORY」っていう(注:今作には未収録です)。自分たちで自分たちの応援をするっていうね」
■まとめて聴くことで、やっとわかることがある
――うむむ、アイドルソングは奥深い…。アイドルソングの面白さってなんでしょう?
南波「うーん、<アイドルソング>っていうのは、別に音楽ジャンルではないですからね。アイドルの名を借りてみんな好き勝手やっているのがいいんですかね。縛りが無いんですよ。たとえば“テクノ”とかのジャンルの中で自由に作るっていうのと、同じレイヤーで語れないというか…」
――突き詰めていくと、もう「何がアイドルか」っていう永遠の問いになってしまう。
南波「もう、それに関しては『なんなんだろう? 』しかないですよね。たとえば、DISC5の「Shimane Diva Project」/『DIVA 降臨』なんて、合唱ですからね(笑)。アイドルかどうか、揺さぶりをかけてくるような存在ですよ…って僕が勝手に言ってるだけですけど」
――その曲最高ですよね! サンプル盤をいただいて、全ての曲に自分なりにジャンルをメモしてるんですが、自分はこの曲に「80年代プロレス感」と付けました(笑)。
南波「あははは、そんな感じもありますね(笑)。しかもそれを合唱でやっているわけだから、ワケがわからない(笑)。もう『これ、ディスコっぽくていいよね』みたいな価値判断とは全然違うところですよね」
――あぁ、評価軸が一元的ではないというか。それに、1曲1曲だけじゃなくて、DISCそれぞれの流れを聴いていきたいとも感じるんです。
南波「FreeSoulコンピ(注:90年代に一世を風靡した70年代ポップ・ソウル・ジャズのコンピレーション)みたいな感じで。あそこまで良いフィーリングのものばかりは並んでいないかもしれませんけど。この『Golden Lady』(注:スティービー・ワンダーの名曲。ホセ・フェリシアーノなどがカバーしている)を歌ってるのは何者なんだ? ! みたいな発見があるといいですね(笑)」
――そう! 自分もFreeSoulコンピを思い出しました。他に近いと感じたのは、細野晴臣さんのコンパイルした民族音楽コンピ(注:『ETHNIC SOUND SELECTION -La Voix De Globe 地球の声-』シリーズ。全8枚)なんですよ。あのコンピも、テーマに沿っていろいろな国の音楽を集めていて。
南波「意図したわけではないけど、今回は柳田國男って言われたりして…もちろんネタ的に言ってるだろうし、自分もそんなつもりもないんですけど(笑)。でも、まとめて聴くことで、やっとわかることってありますよね。
一時期、『レゲエ・ボックス・シリーズ』(注:2000年代初頭にTrojanレコードから再発された大ヒットレゲエコピレーションシリーズ)がすごかったじゃないですか。そういう“量で聴く”感覚ですよ。1枚のコンピ、2枚組のコンピじゃ足りないぐらいめちゃくちゃいろいろあるので」
――6枚組だからこそ、っていうところはありますよね。DISC1、2あたりを聴いていた時は、「これ2枚組でいいんじゃない? 」って思ったんです。曲数が多すぎると混乱するんじゃ? って。
南波「ええ、わかりますわかります」
――でも、3、4と聴いていくうちに、こんな括り方もあるんだ! と思ったり、DISC5なんてこの流れじゃないとあり得ない! って。
南波「そうですね、いろいろとあってこそ、このDISC5なんだ、そこが面白いっていうところもありますね。数は必要なんですよ。まぁ、みなさんにちゃんと聴いてもらえるかどうか不安ですけど(笑)」
――各DISCに1曲ずつ入っているのと、全然聴こえ方が違うと思います。「みかん星☆彡」/『ちょうどイイ♪』なんて、この流れで聴けるからこそイイっていうのもありますよね。
南波「それに、DISC4の最後の「s-mash」/『夏のエンドロール』もヴォーカルがすごいことになっていて、ある意味DISC5案件でもあるんですよコレ(笑)。それぞれのDISCが繋がればいいなというところも考えています」
――わはは、“DISC5案件”ってイイですね(笑)。問題作だらけのDISC5の中では、「髭男爵山田ルイ53世プロデュース まどもあ54世」/『貴族で庶民な女の子』は、なんというか“普通”ですよね。
南波「そうそう、普通のバラードなんですよね。お披露目ライブだけで配られたCD-Rに入っていた曲なんで、世に50人ぐらいしか持ってなかったっていう。この曲の歌詞がすごく好きなんですよ。貴族の女の子の世界をずっと歌ってるんですけど、『もじもじしないで下々』っていうフレーズで始まるんです。もう、それが面白くて収録のお願いをしました」
――わはは、もう一点突破すぎる(笑)。
南波「平均点の良いモノじゃなくて、何でもいいから一個でも突き抜けていたらいい、と思って選んでいるんです。歌い方とか、音のどこかの部分が面白かったりするのを重視してます。だからPerfume以降の四つ打ちのエレクトロみたいな楽曲は、好きだけどあんまり入れなかったですね。平均点の高いジャンルなので。飛び抜けて完成度が高いか、もしくはどこか崩れていたらいいなと思うんですけど」
――DISC3は「chairmans」/『愛しのエイリアン』から「citron*」/『真冬のサンライト』っていういいテクノポップの流れがあるんで、テクノポップくくりなのかな、と思いきや、そうではない曲も入ってますね。
南波「そこにはこだわらなかったです。それから、グループの定番曲かどうかっていう点も考慮しなかったです。ライブで盛り上がる曲と、CDで聴きたい曲とまた違うと思うし。マニアックかもしれないけど、バランスがいいモノじゃないほうがいい、ちょっと突き抜けるものを提示したかったんです」
■“アイドルは、どうしてもポップになる”
――もともとこのインタビューは、自分が『JAPAN IDOL FILE2』のラインナップと『RAW LIFE』(注:2004~2006年にかけて行われた伝説の音楽フェス)のラインナップが、なんだか相通ずるものがあるとツイートしたら、南波さんが反応してくださったところから企画されたんですよね。
南波「ええ、そうですね」
――『RAW LIFE』に出演していた人たちも、どこか突き抜けて、自由にやっていた人たちだったと思うんです。それはクラブミュージックであったり、いろいろな音楽のフォーマットだったりして。そのシーンを知っている南波さんだからこそ、出来たコンピなのかな、と思うんです。外からの目線があるから、こうなるのかな、と。
南波「うーん、中も外もわからないですけど、伝統的なアイドルの文脈でコンピレーションを作ったら、こうはならないですよね。『いい曲とされてるもの』以外のもの…そこに自分の好みがあるのも間違いないので」
――それが、このコンピから伝わるんでしょうか。このコンピには、突き抜けたアイドル楽曲が沢山並んでいる。アイドルという形だけど、インディペンデントだからこそのザラっとした肌触りとか、ガリッとした歯ごたえとか、そういうテイストがあると思うんですよ。それは、ジャンルは違えど、『RAW LIFE』に出ていたような人たちと一脈通じている。
南波「ううん、自分も『LOS APSON? 』(注:知る人ぞ知るレコードショップ。全世界・全ジャンルから選りすぐった音楽が揃う)でCDやテープを買っていましたからね。そういう部分もあるかもしれないですね」
――アイドルだし、はみ出してるし、飛び出してるものが沢山あるコンピですよね。何度も取り上げますけど、「みかん星☆彡」の『ちょうどイイ♪』なんて、どこからこういう音が出てくるかがわからない(笑)。でも、そこがいい。アイドルという形をとることで、基本的にポップだし。
南波「自分たちで未完成って言ってるぐらいですからね(笑)。基本的にポップにはなりますよね。作り手側が「ポップスを聴かせたい」と思って作っているから、アヴァンギャルドなものじゃないんですよね。アイドルは、どうしてもポップになるんじゃないかな」
――おおお、“アイドルは、どうしてもポップになる”。なるほど…。
南波「そうじゃないですかね? そうじゃないもの、あるのかな…。もんのすごくアヴァンギャルドなことをやっているアイドルがいたら、それも聴いてみたいですけどね。それに、若い女の子が歌っている時点で、聴く側にバイアスがかかるんですよね。能動的に聴いて、ポップなところ、楽しいところを見つけようとするというか。逆にそれがダメな人にとっては、どんなに後ろの音が面白くても、どうしてもダメなのかもしれないけど」
――うーん、ある程度バイアスのかかるフォーマットの中で、これだけ自由なものがあって、その良さをいろんな人に伝える大変さや面白さもありますよね。
南波「だからなるべく価格を安くしたかったんです。だって、もとは1曲1000円の世界ですよ! 」
――あ、そうか。単純計算で、100曲で10万円ですね(笑)。さらに、各地で入手するための交通費とかもあるから…。
南波「いくらかかってるんだって話ですよね(笑)。もちろん、大変な思いをして作っている楽曲を収録させていただいたアイドルの皆さんには、本当に感謝しかないし、だからこそもっともっと広がってほしいんです。アイドルを知らない人も、これだけ聴けば絶対面白いことはわかると思うんですよね。シーンの熱は伝わると思うんで」
――その熱を伝えようとする南波さんの熱量と仕事量が、本当にすごい…。このコンピを聴いた方に、現場に来てほしい、と思われたりしますか?
南波「まぁ、現場で楽しむのもすごくいいですけど…それは別にいいかな(笑)。行きたい人が行けばいいし。ただ、やっぱり、熱く支えているお客さんがいなかったら、こんなに広がっていない世界だと思います。もしブームが終わってしまったら、コアだけじゃなくて、ある意味余剰みたいな形で生まれてくるアイドルも減ってしまうし。だから、どうにかいろいろな人に広げていきたいです」
――今日は長時間のインタビュー、本当にありがとうございました。
南波「いえいえ、ありがとうございました! 」
いかがだったでしょうか、南波一海氏インタビュー。かなりお忙しいスケジュールの中、長時間のインタビューに応じて下さって感謝! ただ、このインタビューの中で触れられなかった素晴らしい楽曲も沢山あるんです。本来なら全曲レビューと行きたいのですが、さすがに多すぎますので(笑)、各DISCごとに3曲ずつセレクト、YouTube映像と一緒にご紹介していきましょう。
■DISC1
キャッチーな曲ぞろいのDISC1、ご紹介する楽曲も迷いますが、まずはこちらからご紹介しましょう。RYUTistを擁する柳都アーティストファームから「横山実郁」さんの『鮫とゾンビ』。Negicco楽曲などでも知られるatk氏による8bit感の高いサウンドに乗せて歌われるのは、初々しいデートの風景。アイドルど真ん中なシチュエーション!
そしてチェリストの小宮哲朗氏が手掛ける「7☆マーメイド」/『平塚花子と桜の木』。ジャズっぽいトラックと少女の声が絶妙にマッチしていて、サビの美しさも特筆モノ。そして沖縄の名門事務所、Color’sが送り出す2人組「WB」の『ファラミナ ~follow me now~』はめちゃめちゃかっこいい! MVの画質もスピード感も最高品質で、やっぱ沖縄だなーっ! と言いたくなります。
■DISC2
グル―ヴィーなDISC2の幕を開けるのが「Hauptharmonie」の『映ゆ』。あーりー(DJ O-ant)氏プロデュースの疾走感のあるロックサウンドに、アブストラクトな詩世界が重なる至高の1曲。これはかなり耳に残ります。グルーヴ感といえばこちらも沖縄「琉球QT-BLUE」の『Rapper’s Delight』はオールドスクールサウンドに男女混成ラップが乗るという最強のグルーヴチューン。
そして元SGPの伊藤ゆいさん率いる「expiece」/『Catch the dream』も風が吹き抜けるような爽快感のあるグルーヴと、視界が広がっていくようなサビがたまりません。自分で3曲ルールを破って申し訳ないですがもう1曲…。「hipS Ship」/『見つめていたい』はシンセのアタック音がカッコいい! 個人的にはBODY MUSICを思い出しました。
■DISC3
DISC3で注目したいのが、年若いメンバーの多い、こどもアイドルな楽曲群。まずキラキラのシンセ音とクラップが耳に残りまくる「キャンディzoo」の『CWB!! 』にはじまり、テクノポップの王道を突き進むようなピコピコ音で彩られた「Soror♥ベイビ→ズ」/『ぬいぐるみが恋をした』を中盤に配し、そして美しくも切ない「MMSジャンヌ(PATTY)」/『すききすみ』で締まるという展開はたまりません。
どれもこれも声の可愛らしさとメロディアスな楽曲が共通項なのですが、ノスタルジックで、童話やアニメのような感覚になるところも一脈通じているかも? あ、またもう1曲だけ…。フィノリアと並んで今回大フィーチャーされた感のあるK&Mミュージック所属の「Classic Fairy」/『愛のあいさつ~白雪のように~』も相当ドリーミン! なんだか涙もろくなりますね…。
■DISC4
夏曲を中心に構成されたDISC4。新潟でしっかり活動しながらアイドルファンの熱い熱い支持を受ける「RYUTist」のテッパン曲、『夏の魔法』がここに入って来ました! RYUTistの魅力はキレのあるダンスやキャッチーな曲、そして純朴なキャラクターと多面的なんですが、声の良さもいいんですよね…。
さらに、涼しげで抜けのある独特のサウンドが心地よい「フェリーズ」/『渡船フェリー』も各所で話題。男性によるラップが入っているアイドル曲、なんか増えている気がします。
そして「asfi」の『ラ・ティンパ 2013 Andalucia mix』はめちゃめちゃカッコいい!! 体温上昇必至なラテントラックはBON-BON BLANCOを思い出します。あー、また1曲だけ! 「NKD」/『おいかけて Summer(SHiNTA PLANET REMIX)』はLinQやキャラメル☆リボン楽曲で知られるSHiNTAさんテイストが炸裂したドラムンベース! スペシャル!
■DISC5
インタビューの中でも頻出した問題作DISC5。1曲目からかっ飛ばしてくれます。「ちょび。」の『キミの瞳にジャーマンスープレックスホールド』はアイドル×ダブステップというサウンドもさることながら、現役歯科医である綺羅院長プロデュースという点も予想を越えて成層圏へ。千葉県柏市の「コズミック☆倶楽部」/『私の彼はカレー好き』の電子音に耳に残るフレーズが繰り返されるスタイルは、“日式ポンチャック”とジャンル分けしたくなる怪曲。
こんなDISC5の中では、「皮茶パパのおもて梨GALS by KGY40Jr.」の『INTERESTING!! 』も不思議に手堅い感が。いや、他にも“コラージュフォーク”とでも名付けたくなる「呑みドル愛子」/『ノミタリアン女子』とかガラージュハウス感がやばい「小娘」/『恋人たちのゆうパック』なんて名曲も…。ゆうパーック!! !
■DISC6
コンピの最後を飾るDISC6。いきなり動画を貼ってない曲を紹介しますが、DISC5から続けて青森の古豪「りんご娘」/『青森県反射材大作戦オリジナル応援ソング キラリ☆あおもり反射材』を聴くとテイストの違いが楽しいですよ! そしてエレポップとしてかなりハイクオリティな「ミラクルマーチ」/『forever my friend』は超町田級の実力です。
DISC6も、本当に良い曲ばっかり。ラスト2曲の流れが良いんですよ! 「ドロイ子ちゃん+ぷらす」/『どろいどろんこん』の作曲は、韓国出身のNameless aka NL氏。CLAZZIQUAIなどのK-CLUBサウンドに相通ずるテイストが味わえます。
大トリの「amiina」/『マインドトラベル』は100曲420分に及ぶ長い旅を締めくくる抒情に満ちた1曲。ただ、あまりに荘厳な終わりではなく、暮れていく一日のような終わり方。これからアイドルシーンという日常がまだまだ続いていくことを感じさせてくれます。
うーむ、まだまだ紹介したりない! もっともっと、もーっとたくさんいい曲、入ってるんですよ。皆さんぜひ、このコンピレーションを全部通しで聴いてみてください。現代日本におけるアイドルシーンの面白さ、奥深さ、突き抜けっぷりをビンビンに感じることが出来ると思います。そして気になったグループのライブに行ったり、CDを買ってみたり…ここから始まる推しもあるはず! 今回のレポートは以上です。