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サービス改善の連続(1)

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サービス改善の連続(1)

 

小さく始めて、大きく育てる

  • PDCAを回すためにも、スタッフ同士のコミュニケーションは重要だ
  •   サービスインをしたら、いきなり大繁盛!――そんな展開を期待している人がいるかもしれない。

      しかし、そんな甘い考えはさっさと捨てたほうがいい。
     

      その理由は、「現実にそんなことは起こらないから」だけではない。最初は小さく始めたほうがいいからだ。小さくても素早くPDCAサイクルを回し、生まれたてのサービスを促成栽培させていく。
     

      いきなり拡大路線をとってしまうと、結局はいずれサービスの質を落としてしまうことになりかねない。
     

      なにせ、サービスインした当初は、現場はまだ不安定。サービスのためのインフラが十分には整っていない。それにかまわず拡大してしまえば、現場はますますガタガタになってしまう。これでは、ビジネスとして長続きするはずはなく、いつしか破綻してしまうだろう。

      だからこそ、僕は「最初は小さく始める」をすすめる。
     

      たとえば、会員制のかたちをとるのならば、最初は会員数を制限したほうがいい。実際、フローレンスでも、当初は会員の募集は月10人と制限していた。そうやって成長のスピードをコントロールして、その一方で、現場をしっかりとつくっていくのである。
     

    NPSで顧客の満足度を確実につかめ!

      現場をつくっていく際に目標とすべきは、顧客に「これはぜひ口コミしたい」と思ってもらえる内容やレベルまで高めていくこと。広告にお金がかけられないソーシャル・ビジネスにとって、口コミは大きな戦力になるからだ。
     

      そのためには、顧客の満足度をできるだけ正確につかみ、それをもとに、顧客にもっと満足してもらえる現場を整えていくことが必要になる。
     

      そこでぜひ活用をおすすめしたいのが、「ネット・プロモーター・スコア」(以下、NPS)という指標。これは、アメリカのコンサルティング会社であるベイン・アンド・カンパニーのフレデリック・ライクヘルド氏が提唱した、顧客のロイヤルティー(忠誠度)を測る指標である。とても簡単に顧客の満足度を測ることができ、アメリカでは上場企業の約3割が導入。フローレンスでも現場づくりの重要なデータになると考え、これを採用している。
     

      方法は非常にシンプル。サービスを受けたお客さんに「あなたは、このサービスを友人にすすめますか?」というたった1つの質問をする。それに対して、顧客は0~10の11段階で評価。

      その結果は、次の3つのグループに分けられる。
     

      10~9:推奨者
      8~7:中立者
      6~0:批判者
     
     

    批判者が推奨者を上回れば確実に悪いウワサが立つ

      「推奨者」のグループは、おそらく友人にすすめてくれるだろう。この人たちは、現状のサービスでも十分に口コミしてくれる可能性が高い。
     

      「中立者」は、たぶん批判もしなければ、すすめてもくれないグループ。現状のままでは、この人たちからの口コミは期待できない。
     

      「批判者」のグループの人たちにいたっては、すすめてくれないどころか、陰口を言う恐れがある。いい口コミではなく、悪い評判を流すグループと想定されるのである。評価が1や2のお客さんは、相当に不満を感じているので、かなりの確率で悪口を言ってまわるだろう。

      さて、NPSで注目するのは「推奨者」と「批判者」。

      1つの悪い口コミ(批判者)が1つのいい口コミ(推奨者)を打ち消すという考え方に基づき、「批判者」の割合から「推奨者」の割合を引く。そこで算出されるのが、正味(net)の推奨者の割合となる。別の言葉でいえば、正味の口コミ率。
     
     

    推奨者の割合 - 批判者の割合 = 推奨者の正味のスコア(正味の口コミ率)

     
     

      たとえば「推奨者」が全体の30%で、「批判者」が40%だったとする。その場合、30%-40%で、正味の口コミ率はマイナス10%となる。この数字が示すのは、いい口コミが起こらずに悪い口コミが広がるということ。
     

      NPSでは「満足しましたか? それとも不満ですか?」といった二者択一タイプの満足度調査よりも、はるかにシビアな数字が出る。しかし、それは顧客の本音をよく表した数字なのである。これが現実と受け止めるしかない。
     

      いい口コミが広がるサイクルに入るには、正味の口コミ率をプラスに転じさせること。それには現場を改善していくしかない。「批判者」だった人を「中立者」に、「中立者」だった人を「推奨者」にするために、サービスの質をどんどん高めていくのである。
     

      では、どうやって現場を改善していくか。それについては次回、述べたい。

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