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文=藤井重隆
2003年に原作がベストセラーとなり、2011年に映画化された『マネーボール』をご存じだろうか。
野球における不公平な資金格差のゲームに勝つ術を持った男が、メジャーリーグの貧困球団でゼネラルマネージャーとなり、投資効率を合理的に考えた独自の統計学を用いて奇跡の強豪チームを作り上げるという物語だ。
そんな『マネーボール』を彷彿とさせる改革を行っているチームが、昨シーズンにイングランド2部リーグへ昇格したロンドンのブレントフォードだ。ブレントフォードは戦後、3部と4部を行き来し続けた、言わば弱小クラブだったが、2012年に同クラブの熱狂的ファンで元プロギャンブラーという異色の経歴を持つ企業家マシュー・ベンハム氏に買収されると、3年足らずで劇的な進化を遂げた。
ベンハム氏は買収して臨んだ2012-13シーズンに、プレミアリーグや2部などから計12選手(半分がレンタル)を補強すると、いきなりチームを3部プレーオフへと進出させた。惜しくもプレーオフ決勝で敗れ、2部昇格を逃したが、翌シーズンにはチェルシー、アーセナル、リヴァプールなどから若手選手を期限付きで獲得し、計20名(半分がレンタル)の選手補強を行い、シーズン途中に監督交代に踏み切ったことも奏功。2位でフィニッシュし、21年ぶりの2部昇格を果たした。
そして今シーズン、再びチームは12選手を補強し、アーセナルの若手MFジョン・トラルを含む5選手を期限付きで獲得すると、第38節を終えてプレーオフ進出圏内の6位につけるという快進撃を見せており、プレミアリーグ昇格を狙える位置につけている。
この成功の背景には何があるのか?
今年2月、クラブはシーズン終了後に監督交代を行う事がメディアに流出してしまい、電撃発表する事態に発展したが、その理由としてマーク・ウォーバートン監督は「統計学に重点を置くオーナーとの考え方の違い」と『BBC』に説明。ベンハム氏が『マネーリーグ』の手法を実践している事が明らかとなった。
ベンハム氏の実力は現在のデンマーク1部リーグの順位表にも表れている。ベンハム氏はブレントフォードに続き、デンマーク1部リーグのミトイランド(1999年創設)を2014年に買収し、今シーズンはクラブ史上初のリーグ優勝に王手をかけているのだ。
ミトイランドで会長に任命されたのは同クラブの元選手でUEFA(欧州サッカー連盟)コーチング免許のAライセンスを持つ31歳のラスムス・アンカーセン氏だ。…