真のサプライズは、異例ずくめのメンバー発表だった。スタンドマイクの前に立ち、約１７分間の独演会で幕開け。選手リストを手にしたハリルホジッチ監督は、モニターを使って選手を紹介した。自ら考案した演出で、会見を盛り上げた。

　▼発表方法　監督が自ら発表するのはジーコ元監督も好んだ手法だが、最近はＷ杯メンバー発表以外では選手名が記載された紙が会見前に報道陣に配られていた。モニターには「スタッフが徹夜で作ってくれた」という選手紹介を映し、通常のメンバー、負傷者、バックアップメンバーを色分けして説明した。

　▼大量選出　３１人に及んだ。トルシエ元監督が合宿に４０人を呼んだこともあるが、２３人を通例としていたザッケローニ元監督、アギーレ前監督から大幅増。右太ももを痛めた長友、右ひざ痛を抱える内田、左太もも痛の今野ら負傷者は試合に出ない可能性もあるが「どんな状態か知りたい。我々の目的を知ってもらうためコミュニケーションを取りたい」とハリル哲学を注入するために招集。３人が通例だったＧＫも「競争心を植えつけたい」と今後も４人態勢で臨む意向を示した。

　▼バックアップメンバー　代表経験者、将来性ある若手ら１２人を選出。国際親善試合での採用は異例で、負傷者が出た場合に招集される。合宿には参加しないが「日本代表は全員に開かれている」とし、チームの一員であると強調。

　▼監督室要求　「代表監督用のオフィスがない」と希望。以前の監督室はスタッフが集まるミーティング室だった。過去の監督は週１回、協会に来て話し合う程度で、霜田技術委員長は「毎日ここで仕事がしたいと言った人は初めて」とびっくり。監督の個室として、映像解析やデスクワークができるように整備する。

　霜田委員長によれば、食事も栄養管理などを徹底し、選手との個別面談も検討。独自色を前面に打ち出した約５０分の会見を終え、指揮官は満足そうだった。（斎藤　成俊）