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「週刊ダイヤモンド」2015年3月14日号の特集は「北欧に学べ なぜ彼らは世界一が取れるのか」。その中から、北欧企業たちの成功条件について紹介します。
「ボートをごらん。ぼくらの冒険号をさ。夜見るボートはすてきだろ。これが新生活をスタートさせるやりかただ」
これは童話、ムーミンシリーズの小説の一つ『ムーミンパパ海へいく』(トーベ・ヤンソン著、小野寺百合子訳)の一節だ。ムーミンパパは冒険を思い立ち、住み慣れたムーミン谷を離れ、家族を連れて離島への移住を決める。ムーミンパパの発言はこう続く。
「マストの先にかがやくカンテラ、世界じゅうがねているあいだに、海岸線が遠ざかって見えなくなる。夜、旅をするのは世界のなによりもすてきなことだよ」
たどりついた離島は、過酷な自然環境で、ムーミン一家は壮絶な体験をするのだが、それはさておき、この一節は北欧を語る上で欠かせない要素を含んでいる。
海と夜に、冒険――。
家具のイケアに、ファストファッションのH&M、玩具のレゴ――。スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ノルウェーの4ヵ国でわずか人口2500万人の北欧から生まれた企業は一つの例外もなく、すぐ海を渡り、製品・サービスを世界に広めてきた。
これは、いわゆる大企業だけでなく、デザイン企業もスタートアップ企業も同じ。インターネット電話のスカイプや音楽配信のスポティファイといったITサービスは今や世界標準となった。
もっといえば、欧米や日本、韓国の音楽はスウェーデンの音楽家たちが提供しているし、冒頭のムーミンはおろか、ノーベル賞まで範囲を広げてみると、北欧のコンテンツ輸出がいかに優れているか論じるまでもないだろう。
そして、その多くの企業が世界で戦うコアに、高い技術やデザインを置いている。
携帯の盟主だったノキア、世界一の通信インフラ企業のエリクソン、続々と登場するIT企業も一番の売りは技術力だ。
キーとなるのは、寒くて長い北欧の冬だ。「冬の長くて寒い夜に技術者たちは家にこもる。そうした厳しい環境から、家の中でも楽しめるゲームや物語、デザインが産まれてきた」。ソフトバンクが買収したことで知られる世界的ゲーム会社、スーパーセルのイルッカ・パーナネンCEOは分析する。
デザインも同じように、無駄を極限にそぎ落として、世界の誰でも楽しめるシンプルなスタイルが厳しい自然環境の下で、編み出されてきたのだ。…