[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ただいまコメントを受けつけておりません。
2015年3月20日、医療・人道援助活動を行う非営利国際団体・国境なき医師団(MSF)インターナショナルのジョアンヌ・リュー会長は、 日本記者クラブで記者会見し、シリアなど紛争地での活動やエボラ出血熱流行の現状などについて語った。この中で(1)シリア国内の国際医療チームは過激派組織IS(イスラム国)のターゲットとなり、多くの病院はISの攻撃により閉鎖された、(2)エボラ出血熱感染で884人の医療スタッフが死亡した、(3)流行は下火になったものの関係各国の医療体制は大きく崩壊、復旧が喫緊の課題である―などと指摘した。発言要旨は次の通り。
【その他の写真】
<エボラ出血熱>
2014年3月、ギニアから始まった流行は、感染制御ができずに拡大し、リベリア、シエラレオネでも感染者が続出した。各流行地域にエボラ治療センターを設置し、健康教育、感染者と接触した人の追跡調査などを行った。MSFは約1300人の医療スタッフを派遣、治療などに当たった。医療スタッフ884人が感染して犠牲になった。
大規模な援助活動や地元政府の安全対応などにより、感染者数はピーク時に比べ相当減少した。しかし今回の流行による死者数は相当な人数(約1万人)に達し、終息には至っていない。エボラ熱の流行で関係各国の医療体制は大きく崩壊しており、復旧が喫緊の課題だ。治療が受けれられない重症の疾病患者が増えている。またエボラの発生と感染を防ぐために、今後監視体制を強化する必要がある。
<シリア・IS>
アラブの春に端を発した民主化運動が内戦に発展する中、MSFは12年6月からシリア政府の認可を得られないまま、北部の反政府勢力支配地域で病院の運営を開始した。シリア国内で6カ所で病院を運営、洞窟やニワトリ小屋を活用した野外病院もある。シリアの内戦で多くの難民が発生、国内約650万人、国外約350万人に達している。国際医療チームは過激派組織IS(イスラム国)のターゲットとなり、病院はISの攻撃により閉鎖された。
<ウクライナ東部>
ウクライナ東部地区の戦闘で5500人が死亡、1万3000人が負傷した。2月15日の停戦合意後も砲弾攻撃が続いている。病院などの医療施設も無差別で攻撃され、現地スタッフは医療ストレスを受けている。(八牧浩行)