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あの人気キャラクターたちは、スマホの世界で“勝ち組”になれるか──。
3月17日午後、ゲーム大手の任天堂と、ソーシャルゲームなどを手掛けるディー・エヌ・エー(DeNA)が資本業務提携を締結したと発表した。両社は互いに220億円ずつ出資することで、任天堂はDeNAの10.0%の株式を持つ大株主になり、これまで一線を引いてきたスマートフォン向けゲームに参入することになる。
「われわれが不得意な分野で力を持っている。そして黒子になっても構わないと言ってくれた」
任天堂の岩田聡社長によると、提携のきっかけは2010年6月までさかのぼる。DeNAが任天堂に対してゲーム関連のIP(知的財産)を提供してくれないかと打診したことに始まり、約4年という時間の中で、数ある提携交渉などの中から決めたのだという。
これまでゲーム専用機における高品質なゲームを生み出してきた任天堂だったが、スマホ向けのゲームアプリでは、膨大なユーザーのデータを分析しながら、その興味関心を引き続けるための違った運用ノウハウが必要になる。
その点、ガラケー時代からソーシャルゲームで急成長を遂げたDeNAは、モバイル端末で展開するゲーム運営、課金、分析などの知見があるため、両社の強みを相互に補完できるという理屈だ。
また任天堂のビジネスは日米欧で全体の95%以上を占める構成比になっている。現在開発中という新興国向けのゲーム端末と相まって、グローバルに配信できるスマホ向けゲームアプリは、これまで届かなかったファン層の掘り起こしにも期待がかかる。
両社は年内に、任天堂の人気キャラクターを使ったスマホ向けのゲームアプリを発表するほか、任天堂のファンに向けた新しいユーザープラットフォームの構築をするという。
利益創出は未知数
一方、ゲーム業界にはスマホ向けのビジネス拡大に遅れた両社のコンビを疑問視する声もある。
任天堂の15年3月期の業績予想は売上高5500億円、営業利益で200億円だが、3年連続の営業赤字からようやく水面に顔を出した状況だ。Wiiの爆発的ヒットによるピーク時の09年に比べれば、売り上げ規模は3分の1以下まで縮小しているのが現実だ。
会場では「ゲーム専用機への情熱や展望は失っていない」(岩田社長)と繰り返したが、直近のWii Uは先代の10分の1ほどの累計出荷台数にあり、スマホを入り口にしたファン層拡大がこうした状況を反転させるかは未知数だ。
一方でDeNAの業績も13年3月期を山に下降曲線をたどり、収益の多角化に注力している。
スマホの世界でも任天堂の神通力は通じるのか注目だ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 後藤直義)