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少子高齢化の波は確実にヤクザ業界にも押し寄せている。それは彼らにとっては「危機的状況」といってもいいくらいだ。
山口組直参組織に所属する若手幹部のU氏はいう。
「全国の下部組織に在籍する若手有望株の組員が神戸の本家に集められ、参勤交代のように、平均2年間、住み込みで警備や親分の世話にあたるのが山口組の慣例としてある。かつてはその役にあたる若い衆は10代後半から20代前半の人間が中心だった。ところが、最近はしっかりとした若い奴がなかなか見つからない。いまでは、20代後半から30代半ばくらいまでの組員が本家に派遣されることも普通になってきている。深刻な人材難だよ」
初の6万人割れ
実際、暴力団員の数は年々減り続けている。警察庁の統計によれば、70年代までは20万人近くいたのが、2013年末時点で全国の暴力団構成員と準構成員は計5万8600人で、暴対法が施行された1992年以降、初の6万人割れとなった。現在ではさらに減少しているものと見られる。
この背景には少子高齢化や暴対法・暴排条例などの影響もあるだろうが、不良少年たちの「受け皿」の多様化もあると、警視庁組織犯罪対策課の刑事はいう。
「かつては、暴走族など非行少年・不良少年の行き着く先は暴力団が担っていたが、90年代に入った頃から、ヤクザ特有の厳しい上下関係や掟、しがらみを嫌う若者が増えたのが、まず大きい。そうしたヤクザにならない不良青年、不良中年たちは“半グレ”と化し、ヤミ金や詐欺などの犯罪に手を染めるようになっていった。今やヤクザになるよりも、半グレでいたほうが明らかにシノギもしやすいし、儲かる。こうしたオレオレ詐欺などの小グループが全国いたるところにあり、不良少年たちの受け皿になっている。ヤクザが減るのも当然だろう」
しかし、ヤクザ側もただ手をこまねいて見ているわけではない。幹部たちの危機感は相当なものがあるという。次稿では、現代ヤクザのリクルーティングについて触れてみたい。
(取材・文/小林靖樹)