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■楽天の無理難題を引き受けた理由
【三宅義和・イーオン社長】楽天が英語公用語化に取り組んでおられた2011年12月、葛城さんにお会いしたとき、「昇格トレーニング」の話もうかがいました。これは、仕事は優秀だけれども英語がちょっと不得手であるために昇格できないという人のための研修ですが、私たちが翌12年1月から6カ月、受け持たせていただくことになった。
【葛城崇・楽天グローバル人事部副部長】楽天には中途入社の社員もたくさんいます。このキャリア入社の人たちにも、いろいろなサポートを行なったものの、なかなか英語力が伸びず、目標点数に達しない。400人くらいがどうしても上達しなかったのです。三木谷に相談したところ、三木谷は「絶対諦めるな。楽天はどんな困難も全員で乗り越えてきたじゃないか」と言う。さらに「自分が話をする。全員集めてくれ」と。三木谷は400人に、本当に久しぶりの日本語で、スピーチをしたのです。
「英語は将来必ず使うことになる。習得のために会社はあらゆるサポートをする。だから、がんばってほしい――」
すると、雰囲気が変わったのです。三木谷は「さっそく来週からトレーニングだ」と力強い。私は、「来週からトレーニング」という話は事前に聞いていなかったので、「どうしようか」と本当に焦りました(笑)。それで、三宅社長に相談させてもらい、「大丈夫です」とお言葉をもらった次第です。
イーオンの講師の方々は優秀です。そのなかでも、いわゆるエース級の講師たちを割り当ててくださった。私どもは、結構いろいろなわがままを申し伝えたのです。たとえば、午前中に、400人規模の受講生で、レベルはバラバラ……。それを柔軟にカスタマイズしてくださった。お願いしてから1週間という短期間です。そんな無理な依頼に関わらず、 イーオンは「できます」と答えてくださった。
本当にあれがなければ、楽天の英語化はできなかったと思っています。
【三宅】実は、引き受けたことを社員に伝えたところ、みんな「えっ?」と驚きはしたのですが(笑)。
イーオンは、「TOEIC満点」「英検一級」を持っている講師がたくさんいる。そのなかでも、講師を研修するトレーナーや、あるいは企業研修課の講師を、毎朝行くように指示しました。実は私も、1、2回、行かせてもらった。
今だから言えることですが、受講生の皆さんは、熱心なのですが、何か負のオーラが漂っていた。同僚に迷惑をかける、給料をもらいつつ英語を勉強している、といった思いがあるがゆえに、「なんとかしなければ」と意気込んでいる。…