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金沢21世紀美術館の有名な『スイミング・プール』のように水をモチーフにした作品はあっても、水そのものに手を加えるようなアート作品やデザインはなかなか見当たらない。一定の形を持たない液体の性質を考えれば無理ではないことだといえるが、そんな常識を覆すような幾何学的な水流が世界中で大きな話題になっている。
■ “穏やかで渦巻いたもの”というイメージを作品に利用
この魅惑的な水を流す『Swirl』という蛇口を開発したのは、イギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・アートに通う学生、Simin Qiu氏。
世界で2校しかないという美術系大学院大学のひとつである同校は、建築、デザインからコミュニケーションや人文学といった分野までカバーする美術・デザイン系の名門。過去には、映画監督のリドリー・スコット氏やダイソン社の創業者ジェームズ・ダイソン氏など第一線で活躍するクリエイター/デザイナーを数多く輩出している。
そんな環境でプロダクトデザインやインダストリアルデザインを学ぶQiu氏は、「生命のあらゆる形が水に依存している。私は水が穏やかで渦巻いたものだと理解しているので、この2つの要素を自分の作品のなかで使った」と今回のプロダクトにつながる背景を説明している。
■ 2つのタービンが逆向きに回転
この蛇口は、内部の2つのタービンが反対向きに回転することで、美しく幾何学的な模様を描く水流を実現。これは自然に渦巻く水の性質を活性化させ利用したもので、異なるノズルの穴の形状が3つの水流のパターンを生み出すのだ。
芸術的な水の文様にばかり目がいきがちだが、『Swirl』は実用的なイノベーションもある。通常のレバー式蛇口に比べ、60秒間同じ水圧で使用した場合、使用する水量を15%削減することができるようだ。また、水は通常の蛇口よりも0.4秒速く出るといい、使いやすく環境にもやさしいのは嬉しい。水温の設定はあらかじめ済ませておくことで、無駄に水を温める必要がなく電気の節約にもなるようだ。
『Swirl』は世界的に権威あるドイツデザイン賞の学生部門で賞も獲得し、Qiu氏はスピーチで「プロダクトデザイナーとして、世界にポジティブなインパクトを与えることができてとても嬉しい」と喜びを語っている。現在はまだプロトタイプの段階で、今後さらなる開発が進められるとのことだが、実用的かつ審美的なこの蛇口が販売される日がいまから楽しみだ。
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