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これまで、欧州の銀行が中心となって発行が進んでいたCoCo債(※)ですが、日本においても、3月17日に、大手銀行グループによって、国内初となるCoCo債の発行が発表されるなど、新たな国際資本規制(バーゼルIII)への対応が拡がりつつあります。
CoCo債は、バーゼルIIIのもとで、自己資本への算入が認められている資本性証券のひとつです。国際的な金融機関は、ROE(株主資本利益率)の低下を避けながら資本増強を行なうために、これまで、劣後債や優先証券などの資本性証券を発行してきました。しかしながら、バーゼルIIからバーゼルIIIへの移行に伴ない、これまで自己資本への算入が認められてきた証券の多くは、自己資本への算入が認められなくなります。こうしたことから、世界では欧州の大手金融機関を中心に、CoCo債の発行が進んでいる状況です。一方、需要面では、劣後債などと比べて利回り水準が高いことが投資家を惹きつける要因となり、CoCo債の市場は近年拡大傾向となっています。そして、足元では、ECB(欧州中央銀行)による量的緩和を背景に長期金利が一段と低下傾向となっており、投資家がより高い利回りを求める「サーチ・フォー・イールド」の動きの強まりとともに、CoCo債の需要は一段と高まっているようです。
バーゼルIIIへの対応、そして、ROEを重視する海外投資家への対応が求められる中、日本の金融機関においても今後、CoCo債を発行する動きは拡がると考えられます。超低金利環境で債券の運用が非常に難しくなっていることもあり、機関投資家などを中心に利回りの高い証券への需要は高く、利回り面での魅力をもつCoCo債は、発行体の信用力なども相まって、市場の注目を集めるとみられます。比較的新しいタイプの証券であるものの、今回の日本の大手銀行グループによる発行をきっかけに、国内において認知度が高まるようであれば、国内外問わずCoCo債への投資家の関心は高まると期待されます。
※ CoCo債(Contingent Convertible Bonds)は、発行体である金融機関の自己資本比率があらかじめ定められた水準を下回った場合などにおいて、元本の一部または全部が削減される、または、強制的に株式に転換されるなどの仕組みを持っています。こうした、商品の複雑性などから、CoCo債は、同一発行体の普通社債や劣後債などと比べて利回り水準が高い傾向にあります。…