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【ローマ福島良典】観光客や主婦、学生は消費税の脱税常習者を盗聴・盗撮で見つけて−−。ギリシャのチプラス政権がこのほど、欧州連合(EU)のユーロ圏諸国に提出した構造改革案に「素人税務調査団」を発足させる奇抜な脱税対策を盛り込み、物議を醸している。
ギリシャのバルファキス財務相が9日のユーロ圏財務相会合に先立ち、デイセルブルム議長(オランダ財務相)あてに送った文書を地元メディアが入手し、報じた。財務相は文書の中で「税金逃れの文化はギリシャ社会に深く根付いてきた」と指摘し、脱税の摘発にあたる税務当局の人手・予算不足を補う必要性を強調している。
その上で、領収書を発行せずに付加価値税(日本の消費税に相当)を逃れようとするナイトクラブや診療所を見つけるため、「素人税務調査員を2カ月単位で雇い、盗聴器・盗撮器を付けて顧客として振る舞ってもらい、(脱税の)情報を収集する」と提案している。素人調査員があちこちにいると分かれば「人々の態度が変わり、納税文化が生まれる」と“効用”を説いている。
だが、AP通信によると、サマラス前首相の中道右派野党・新民主主義党の報道官は「こんなことで脱税の摘発ができると考えるとは、法的に危険なだけでなく、ばかげている」とチプラス政権の提案を批判した。これに対して政権側は「前政権によって作られた脱税の抜け穴は全て塞ぐ」と反論している。
チプラス政権はユーロ圏諸国から金融支援の延長を取り付けるために構造改革の実施を約束しており、ユーロ圏は9日の会合で改革案を検討する。バルファキス財務相は8日付イタリア紙コリエレ・デラ・セラのインタビューで、ユーロ圏が改革案を受け入れなければ、改革案についての国民投票または早期選挙を実施する可能性があると述べた。