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◇大阪女学院大・藤木さん
◇英語学ぶ夢かなえ 休まず通い、留学も
大阪女学院大(大阪市中央区)で学ぶ、藤木満寿子さん(83)(大阪市天王寺区)が14日、国際・英語学部を卒業する。戦争で途切れた、英語を学びたいという夢を実現させ、孫のような同級生からは「ふーちゃん」の愛称で呼ばれた。「無事に終えられて感無量。とても楽しい4年間だった」と話している。(久場俊子)
79歳で念願の入学を果たしたものの、「50年以上も主婦だったので、最初は日本語の文章を書くことすら大変だった」という藤木さん。心がけたのは、「授業を休まないこと」と「締め切りを必ず守ること」だったという。週5日、キャリーバッグで大学に通い、持ち前の好奇心と積極性で、授業で必須のiPadも使いこなせるようになった。
周りは孫と同じ世代。若い学生たちがぐんぐん実力を伸ばしていく姿を見て、ときに焦りを感じたと言うが、授業で聞き取れなかった英単語は隣の学生に聞くなどし、4年間で落とした単位は1科目だけ。「みんな聞けばちゃんと教えてくれる。とっても親切でした」。1年生時にはオーストラリアへの短期留学も実現させた。
藤木さんは1931年、4人きょうだいの長女として、中国・上海で生まれ、三重県桑名市で育った。旧制高等女学校を卒業した後に大学で英語を学ぶつもりだった。だが、戦後の混乱期に突入し、進学はあきらめた。貿易会社に勤務した後、24歳で結婚し、3人の娘を育てた。
だが、英語で学ぶという夢を諦めきれず、2008年、76歳で通信制高校に入学した。「行けばいい」と背中を押してくれた夫の和三郎さんが入学直前に急死する不幸もあったが、「無我夢中で学ぶことで、悲しみが和らいだ」と振り返る。3年後、AO入試で同大に合格した。
卒業論文のテーマは「日本の在宅介護について」。在宅介護する5家族にインタビューし、ケアマネジャーなど約20人にアンケートを行った。孫もテープおこしを協力してくれ、半年がかりで仕上げた30ページ以上にわたる労作。作成には、発表用資料作成ソフトを使ったが、これも在学中に学んだ「特技」だ。
全文英語の論文は、2月に発表。手ぶりを交えたなめらかな英語に、約30人の学生から大きな拍手が湧いた。加藤映子学長は「発表の時の英語は素晴らしかった。4年間、コツコツと勉強を積み重ねてきた結果だ。藤木さんの学ぶ姿勢は、若い学生たちにも良い影響を与えた」と話す。
卒業後は、大学の図書館に通い、英語の絵本を読む予定だ。「これまでは課題をこなすので精いっぱいで、それどころじゃなかったので」。藤木さんの学びの意欲は衰えない。