「ハイスペック女子」。最近、私の周りでもよく聞くようになった言葉です。人よりも容姿が秀でている(かわいい)、頭がいい、仕事ができる、彼氏が高学歴高身長高収入などのハイスペック、または自身が高学歴……などなど、優れたスペック(特徴)を兼ね備えている女性のことを総称して「ハイスペック女子」というようです。
こうしたハイスペック女子たちは、最近、ある大きな悩みを抱えている様子です。それは、「いじられる」こと。
「このなかで一番自分がかわいいとか思ってるでしょ?」
「ここにいるやつら全員頭悪いとか、バカにしてんじゃないのー?」
「どうせ自分の彼氏が一番ハイスペックとか思ってるんだー!」
などと、軽く明るいノリでいじられる。最近はこのように、スペックの高い人を「いじる」傾向が強いそうです。
知り合いのハイスペック女子によれば、そうしていじられた後は、基本的に何を言っても批判されてしまうのだとか。「いやいやそんなこと思ってないよ!」と否定しても、「そんなわけないじゃん!」と非難される。冗談で「思っているよー」とおどけて見せても、「うわ、怖いわー」と引かれてしまう始末。じゃあどうすればいいの! と、毎回イライラしてしまい、そうしたいじりにはほとほとうんざりしているのだそうです。
ではそもそも、なぜ人は「ハイスペック女子」をいじるのでしょうか。もともとは、かわいい、仕事ができる、高学歴、などのハイスペックに対しては「ねたむ」という行為が一般的でした。昔は上のように、明るいノリでいじるという文化はなかったはずです。
「いじる」という行為が一般的になった一因としては、インターネットの発達が挙げられるでしょう。TwitterやInstagram、FacebookといったSNSが流行し、誰もが自分の思っていることを高い頻度で発信するようになった現代、陰でねたんで悪口を言う、という行為がなかなかしづらい状況になりました。
もちろんLINEグループを陰で作るなどする「LINEいじめ」も話題になっていますが、それは小学生や中学生たちの間での話。大人はさすがにそこまでするのはプライドが許しません。
こうして、ねたみによって陰口をたたくことが難しくなった今、ねたみをどう表現するかといえば、「いじり」。インターネット上でも、現実の世界でも、どうにかして何とも思っていない風を装って「ねたみ」を表現しなければならなくなった。…その表現方法が「いじり」というわけです。
ですから、ハイスペックに対する「いじり」が多くなったのは、時代の必然。最近の傾向だから……と割り切って、なんとか大人の対応をしたいところです。いじられたら、「うん、そうそう。」と適当に流すなり、「そんなことないよ(笑)」と根気強く付き合うなり。
しかし、それでも! いじられ、それにきちんと返し、その返しをまたいじられ、ときにいじり返し……というこの「いじり」の負の連鎖。正直うんざりだし、憂鬱になってしまいますよね。では結局、どうすればいいのでしょうか。
人からいじられたらあまり深掘りせずに華麗に流しつつ、自分が人のハイスペックをいじりたくなる気持ちは「素直に褒める」ことで解消する。あ、うらやましいな、と思ったら「うらやましい」と素直に言ってしまう。こうした行動が負の連鎖を断ち切ることへの第一歩です。こうして自分がいじることをやめたら、もしかすると、相手も自分をいじりづらくなってくるかもしれません。
いじられたら、あまり取り合わずに、流す。人のスペックをいいなと思ったら、いじるのではなく、素直に褒める。これが本当の「大人の対応」。
是非、「いじり」の負の連鎖から抜け出してみてください!
(五百田達成)
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