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渋谷区広尾。東京の中でも六本木、青山、恵比寿、白金に囲まれた、いわゆる”アッパー”な街であり、高級住宅地や多数の国の大使館で国際色が豊かなのも特徴だ。そんな広尾の中で、オシャレ雑貨店や生活に根ざした惣菜店などがある商店街「Hiroo散歩ど~り」は、周辺住人にとって貴重な存在である。今回紹介する「広尾湯」は、その通り沿いにある。
「広尾湯」は商店街「Hiroo散歩ど~り」の通りにある
大正創業でもうすぐ100周年
「広尾湯」へは東京メトロ日比谷線広尾駅徒歩1分、大正7年(1918)創業の歴史ある銭湯だ。隣にはコインランドリーが併設しているが、外観は何の変哲もないビル銭湯。この華やかな通りでは逆に際立った存在として目立っているかもしれない。入り口には小さく「手ぶらでご入浴できます」の貼り紙がある。一般的な銭湯のように、簡易的な入浴セットを購入できるところはこちらも同じ。
下足を脱ぎ、引き戸から中へ。正面がフロントで、手前のスペースがロビーになっている。4人程度が休憩できるソファのほか、テレビ、自動販売機など。家庭のリビングのような雰囲気で気取らずくつろげる。男湯は左、女湯は右に進む。男湯はフロントでロッカーキーを預かる仕組みになっている。
ロッカーは3面分と貸しロッカーエリアがひとつ。腰掛けが2脚、デジタルの体重計と、隅角に洗面台・ドライヤーがあるのみで、脱衣所はこざっぱりしている。白い天井はなかなかに高く、そこからはファンが2基ぶら下がっている。
薪で沸かす湯でじっくり温まる
男湯のイメージ(S=シャワー)
浴室のアーチ型の天井はビル銭湯にしては高く、白とだいだいのストライプでデザインされている。正面にはモザイクタイルでヨーロッパ風の湖水地方のような風景画が描かれていて、モチーフとしては比較的メジャーな部類に入るだろう。黄色のおけには「廣尾湯」の屋号入り。立ちシャワーにはカーテンがひかれている。
湯の方も定番の深風呂と浅風呂の組み合わせ。浅風呂側は仕切りでジェット付きの座風呂がつくられている。バイブラはやや強め。温度は体感で43~44度くらいだろうか。薪で沸かしているとのことだがそこはさすが老舗、温度管理がうまく、しっかり温まることができる。
という具合に、広尾湯には斬新な設備や目を見張る特徴があるわけではなく、地に足のついた堅実な銭湯という印象が強い。寺社仏閣のような屋根や、富士山の背景画はなくとも、広尾湯には東京銭湯のひとつの王道の形がある。また、銭湯はその街の縮図でもある。一歩足を踏み入れて常連客や女将さんと触れ合ってみることで、表面からは見えない、また違ったその街の魅力に気づけるかもしれない。
●information
広尾湯
東京都渋谷区広尾5-4-16
※記事中の情報は2015年3月時点のもの。イメージ図は筆者の調査に基づくもので正確なものではございません
筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。