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常磐道の常磐富岡IC-浪江IC間の14.3kmが、3月1日に開通。3年遅れで、ついに常磐道が全線開通しました。このあたりは今なお帰還困難区域もあり、常磐道から見える景色は、汚染土が詰まった黒い袋と被災した家屋ばかり。常磐道を走る際は、景色や沿道の線量表示モニターに注目しすぎて、前方のクルマにぶつからないように!
⇒【写真レポ】常磐道が全線開通
清水草一=文 Text by Shimizu Souichi
池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu
◆交通事故のほうが1億倍リスクは高い。帰還困難区域を横切る常磐道を走ってきた
4年前の福島第一原発事故の際、パリに住んでいる友達が、「フランス人はみんな『日本人はなんで逃げないんだ!?』って言ってるよ」とメールをくれた。私はすかさず返信した。「こんな時に敵に背中を見せられるかってんだ!」と。
放射線は目に見えないだけに、怖がる人がいるのは無理ないと思いますが、それよりも交通事故のほうが1億倍リスクは高かろう。
なにせ、そこらに転がっているリスクのなかで、最大のものは交通事故。でも交通事故が怖くて日本から逃げる人っていないでしょ? 矛盾してるよね。
去る3月1日、常磐道が全線開通した。ついに原発事故による帰還困難区域を横切る高速道路が完成したのだ。
並行する国道6号線は昨年9月に開通していたが、バイクはダメで、クルマも窓を閉めて空調は車内循環を推奨。さすがにそれだと気軽に観光に行くのは気が引ける。地元のご迷惑になりそうで。
しかし常磐道はバイクも窓開けもOK。高速道路オタクとしては、「東京-仙台間の巨大な迂回ルートになる」と開通を心待ちにしてた路線でもあり、走らない理由はない。せっかくなのでSAPAグルメも楽しもう。
実は、NEXCO東日本のSAPAで配ってたグルメ冊子『孤独のドラめし』(週刊SPA!『孤独のグルメ』の井之頭五郎をキャラクターにしたもの)は、我々が取材したんですよ!
福島県内の常磐道には「南相馬鹿島SA」がオープン。よし、ここに繰り出そう!と思ったら、現状はガソリンスタンドとトイレ、自販機のみ。売店もレストランもない! まあいい、とにかく突撃だ。
常磐道を順調に走って福島県内に入ると、さっそく放射線量表示モニターが登場。自然と緊張感が高まるが、1回走ってレントゲン160分の1程度にビビッってられるか。それよりも、わき見運転のほうが3億倍危険だ。
新設の「ならはPA」では持参の放射線量計で計測したが、PA設置のモニターとだいたい合ってる。安心だす。広野-南相馬間には、沿道に線量表示モニターが9つもダダダッと並んでいて壮観だ。厳粛かつ安心な気分になる。やっぱり情報開示は大事だネ!
しかし、周囲の田畑には汚染土を入れた袋が並び、被災したままの家屋も多い。しばし黙祷。
⇒【後編】『小さな支援。GWは全線開通した常磐道で福島県浜通り観光へ』に続く http://nikkan-spa.jp/819211