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声のお仕事である『声優』。顔の見えない裏方のお仕事でありながら、近年はアイドルとの垣根がなくなって来ており、バラエティー番組や、歌番組などに出演することも珍しくなく麻生美代子、注目度が増している職業である。そんな人気声優をフィーチャーするこの連載。第85回目としてお届けするのは、堀 絢子。
子供の頃に聞いたNHKラジオで、リスナー役をしていた高橋和枝(『サザエさん』磯野カツオ役<2代目>など)に憧れ役者を志す。しかし母親の猛反対を受け、内緒で児童劇団に入り、アルバイトをして台詞や歌、踊りの個人レッスンなども受ける。女優としてデビューを果たすと、来る仕事は全て受けるというスタンスで、吹き替えの仕事に出会うことになる。
声優としての代表作は、1971年『新オバケのQ太郎』主人公・Q太郎役、1981年『忍者ハットリくん』主人公・ハットリカンゾウ役、1989年『チンプイ』主人公・チンプイ役など、藤子アニメの主人公を多数演じている。
印象に残っている役は、キャラクターとの相性が良かったという1969年『ムーミン』ミイ役と、『忍者ハットリくん』ハットリカンゾウ役である。『ハットリくん』では、OPテーマ「忍者ハットリくん」も歌い、語尾の「ニンニン」という決めゼリフは堀のアドリブで、そこから派生して「ニンともかんとも」や「ニントトット、ニンニン」といった更なるアドリブが誕生したという逸話がある。2013年には、『NINJAハットリくん リターンズ』としてインドから逆輸入版され25年ぶりに新作で復活し、旧作より堀が続投している。
この様に、少年・少女役が目立つが、1978年『ピンクレディー物語 栄光の天使たち』増田啓子・ケイ役で大人の女性を、2003年PlayStation 2用シミュレーションRPG『ゲゲゲの鬼太郎 異聞妖怪奇譚』では、高齢の砂かけ婆役を演じるなど役の幅は広い。
ライフワークとして、反戦劇である舞台『朝ちゃん』を1989年より公演している。原爆で軍医であった父親を失い「次の世代に命の大切さだけは伝えていきたい」という気持ちから始め、「反戦」にひっかけて半千回=500回公演を目指している。