日本のモノ作りの代表「自動車」と「陶芸」。その原点を探りに益子町へと出かけた。

　田口和宏さん
　オリジナル性の高いカバン類を製品化して高評価を得ているマッカモンのデザイナー

　飯田裕子さん
　自動車評論家として専門誌から一般誌まで幅広く活躍中。国内外へ取材へ出かけ、女性視点での解説が好評

　　日本が世界に誇るモノ作りといえば、その筆頭に来るのは自動車であることは誰もが頷くだろう。一方、日本が古くからモノ作りでこだわってきた伝統工芸のひとつに陶芸がある。自動車は戦後の日本を支えた基幹産業として君臨し続けてきたわけだし、陶芸はその巧みな技で日本人の生活を支えてきたという背景がある。いずれも日本のモノ作りにとって欠かせない位置付けにあったと言っていい。

　　そんな両者の今を体験しようとドライブしながら訪れることにしたのが日本有数の窯元の街、栃木県益子町。人間国宝 濱田庄司が陶芸を通して愛してやまなかった町だ。もともとよそ者であった濱田庄司が益子町に住み着いた理由はどこにあったのか。益子町に行けばその気持ちに少しでも近づけるかもしれない。そんな思いを描きつつ二人は益子町へと向かった。

　　ドライブにはそれぞれが自分の好みを反映した2台を用意した。1台はマッカモンデザイナー・田口和宏さんが「スノボ好きの自分が利用するシーンにジャストフィットする」としたランドクルーザー『70（ナナマル）』シリーズ。世界中の荒野を駆け抜けた実績は今もなお高い信頼性を持ち、今回のナナマルはその生誕30周年を記念して限定販売されたものだ。もう1台は走りでスポーツマインドをくすぐるFRスポーツ『86（ハチロク）』。日本を代表する女性モータージャーナリスト・飯田裕子さんが「こだわりの逸品を探しに行く」ために選んだクルマだ。

　　走行した印象はどうか。『ナナマル』について田口さんの印象は「着座位置が高くて見晴らしがよいせいかサイズ感をあまり感じません」。『ナナマル』は全長4m81cm×全幅1m87cmの堂々たるビッグサイズ。にもかかわらずサイズを感じさせないのは、スクエアなボディデザインが見切りのよさを生み出しているからにほかならない。走りも古典的なデザインとは裏腹に驚くほどスムーズだ。

　　都内から高速道に入ると4Lエンジンならではの図太いトルクが2トンを超えるボディをグングンと引っ張り上げていく。その力強さに田口さんも「マニュアルミッションだけど、低い回転域からストレスなく加速してくれる。…