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もう「ポップス」とはさようなら (((さらうんど))) イルリメ鴨田・Crystalインタビュー

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もう「ポップス」とはさようなら (((さらうんど))) イルリメ鴨田・Crystalインタビュー

もう「ポップス」とはさようなら (((さらうんど))) イルリメ鴨田・Crystalインタビュー

 

「ポップスに対して関心がなくなったというか、諦めたというか」。取材の冒頭で、鴨田潤から飛び出したその言葉は予想していないものだった。2012年の結成以来、1stアルバムの『(((さらうんど)))』にしろ、2ndアルバムの『New Age』にしろ、これまで(((さらうんど)))が発信してきたサウンドには「ポップス」というコンセプトが一貫してあったように感じていたし、最新作『See you, Blue』もそうした延長線上にある作品だと予測していたからだ。

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だからといって、『See you, Blue』がこれまでの(((さらうんど)))の音楽性から劇的に変わり、例えばノイズやドローンの沼地と化しているのかというと、まったくそんなことはない。素晴らしい歌ものであることは変わらず、砂原良徳のマスタリングが施されたトラックはより輝きを増していて、むしろポップスとしての強度は高まっているようにすら感じられる。だが、彼らは言うのだ。「もうポップスに用はないのだ」と。

今回の取材では、そうした彼らの心境の変化にフォーカスしつつ、『See you, Blue』というアルバムの背後にある想いやメッセージについて、大いに語ってもらった。

■「もうポップスでなくてもいい」という結論に達しました。ポップスに対して関心がなくなったというか、諦めたというか。(鴨田)

―『See you, Blue』が3枚目のフルアルバムになりますが、これまで(((さらうんど)))として活動を続けてきて、結成当初と現在で変わったことってありますか?

鴨田(Vo,Gt):2012年に1stアルバムを作った頃は、自分たちなりのポップスを作りたいという憧れがあって、実験にも近い感覚でやっていたんですけど、本作を作り始めるタイミングでは「もうポップスでなくてもいい」という結論に達しました。ポップスに対して関心がなくなったというか、諦めたというか。

―それはどうしてでしょう?

Crystal(Key):本作を作り始めるくらいのタイミングで、他のアーティストへの楽曲提供の話があったので何曲か作ってみたんですけど、「なんか違うな」っていう感覚があって。既存のポップスに近づいていくという行為が、(((さらうんど)))にはあまり向いていないことに気づいたというか。

鴨田:まあ、疲れたんですよね(笑)。それで、こんなことをやっている場合じゃないなって。

Crystal:例えば山下達郎さんもジャニーズに曲を提供しているし、そういう職人的な仕事もできる人に憧れがあったから、一度はチャレンジしてみたくて。でも、結局向いていないという結論でした。楽曲提供にチャレンジしてみた経験は、ポップスから離れようと思った理由の1つですね。

―(((さらうんど)))が結成当初から目指していたポップスは、オリコン上位のアーティストとも対等に戦っていくことも含んでましたか?

鴨田:いや、そこまでは……だってカクバリズムからリリースしている時点で、ねえ(笑)。地べたでポップスをやってみたいという感じでした。

―「地べた」というのは?

鴨田:これまで自分たちが活動してきたフィールドのこと。ヒットチャートに向かってポップスを投げるということではなくて、あくまで自分たちのフィールドの中で好きなポップスを作っていこうって。

Crystal:今作に関しては、ポップスに関心がなくなったという言い方もできるし、別の言い方をすれば、自分たちの好きな音楽により集中しているとも言えると思う。

―ポップスから離れようと思った他のきっかけについても教えていただきたいです。

Crystal:制作の過程で、今聴いている音楽とか「あの新作が良かった」という話をメンバーでメールしあっていて、その盛り上がりが今まで以上にあったんですよね。そういうやりとりの中で生まれた音楽を聴いたり発見したりする楽しさを、自分たちの曲に投入するということが、間違いなく今回のアルバムの軸になっていると思います。

―自分たちの音楽性を既定してきたポップスという概念から解き放たれて、純粋に好きな音楽から得た感動を作品に注入したと。これまで(((さらうんど)))が語られる時に「ポップス」という言葉が頻繁に使われてきたイメージがありますが、それに違和感を感じていた部分もあるんですか?

鴨田:いや、これまではむしろ自分たちも「ポップス」という言葉を意識的に使っていたし、そういう自己暗示もかけてました。

Crystal:あと、自分の中でポップスという概念の枠組みが広がりすぎて、ポップスの定義自体が消えてしまっているのかもしれない。声が乗っているものをポップスとすれば、Liaisons Dangereuses(1980年代前半に活躍した、ドイツのニューウェーブバンド。エレクトロニックミュージックのパイオニア)もポップスに入ることになると思うし。

―なるほど。ちなみに先ほど言っていた、今回のアルバムの制作過程中にメンバーの間で盛り上がった音楽とはどういうものなんでしょうか?

鴨田:ハウス全般。前からハウスは好きなんですけれど、今はそれしか聴かなくなりました。

Crystal:最近だとFour TetとFloating PointsのDJミックス(Floating PointsのSoundCloudにて視聴可能)とか、盛り上がったよね。

鴨田:うん。あとさっきも出たLiaisons Dangereusesもそうだし、ジェームス・ホールデン(イギリス・オックスフォード在住のDJ)の『The Inheritors』というアルバムは、Crystalがお薦めしていて聴いたらめちゃよくて。それでポップスの自己暗示が解けたのかもしれない。

■怒りや失望は感じますよね。で、そうした感情は自分の中で残っているから、音楽になったときに出てしまった。(鴨田)

―『See you, Blue』の制作過程で「ポップス」というコンセプトがなくなったのは大きな変化だと思いますが、その一方でどういう音楽性を目指していったのでしょうか?

Crystal:前作の『New Age』(2013年リリース)は「ディスコ」というキーワードがあって。ディスコが流行った時代って、ディスコっていう言葉の中に、ブラックミュージックやロックなど色々なものがぶっこまれていたじゃないですか。本作ではそれを自分たちなりに発展させて、色々な国の特徴的な音楽を散りばめた踊れる音楽にしようと考えていました……けど、途中で変わった(笑)。

―その後、どのような方向性に?

Crystal:アルバムの1曲目に入ってる“Siren Syrup”が最初にできて、それから方向性が定まっていきましたね。この曲にピアノ(横山裕章)のソロが入っていて、最初はもう少しメロディーに沿って弾いてもらってたんですけど、鴨田さんが「もっと絶望している感じを出したい」って言ってきて。その「絶望」というキーワードがアルバムの方向性になったかなって。

―“Siren Syrup”ができたのはいつ頃ですか?

Crystal:2014年の4月くらいかな。それでアルバムができたのが12月だから、全曲作り終えるまでにけっこう長い時間かけましたね。

鴨田:前作はゲストやレーベルの人たちと集団で作っていた感覚がありましたけど、今回はダラダラ二人だけで作った、ごくごくパーソナルなアルバムだと思います。サウンドディレクションはすべてCrystalがやって、僕はそこに関しては口出ししない。できた曲を送ってもらい、僕が歌詞を書いて、歌を乗せて送り返すという。

―『See you, Blue』というアルバム名も、「絶望」というキーワードからきているのでしょうか? 「ブルー」という言葉が何かとても意味深だなって。

鴨田:そうですね。やっぱり、青は憂鬱を意味する色でもあるので。本作は全体的にそういうトーンの曲が多いと思います。

Crystal:「絶望」というキーワードが一貫してあったから、そこに『See you, Blue』っていうタイトルが付くと、もう少し軽やかな感じになるかなって。

―「絶望」というキーワードが出てきた、具体的な背景はあるのでしょうか?

鴨田:(しばらくの沈黙の後)……在日韓国人に対するヘイトスピーチを聞いて、日本語に対して嫌悪感が出始めたことがきっかけですね。それからはなるべく日本語で考えないようにしようとか、感性で受け取ったまま言語化せずに頭の中に置いておこうとかって思うようになって。なので、Crystalから送られてくるサウンドに関しても、文字情報のないような音を求めてました。

―日本語に嫌悪感を感じたのは、ヘイトスピーチの中に言葉の残虐性や怖さのようなものを感じたからですか?

鴨田:……嫌になりますよね。日本語そのものに対しての嫌悪感というよりも、言葉だけで構築される思想だったり、観念だったり……文字情報でしか捉えてないし、テンプレートでしか発信していないということへの嫌悪感。デモに対するカウンターとして、実際に一人で新大久保とかに足を運んでたんですけど、怒りや失望は感じますよね。で、そうした感情は自分の中で残っているから、音楽になったときに出てしまった。

Crystal:そういう「絶望」は今までもずっとあるものだったけど、それをあえて表現したのが本作かな。

鴨田:そうだね。前までもそういう感情が多少はあったけど、今回はストレートに出しました。一聴してもわからない部分かもしれないですけど。

■Tumblrをやって、好きな色や構図を並べていると、自分の好みが明確になっていったんですよ。そういう嗜好が分かることで音や歌詞の両方において自分の好みをストレートに出せるようになりました。(鴨田)

―全体的にブルーなトーンの曲が多い中、佐野元春さんの“カム・シャイニング”をサンプリングした“乙zz姫(Sleeping Beauty Part3)”だけは飛び抜けて明るいですよね。この曲は鴨田さんの発案ですか?

鴨田:そうですね。最初はイルリメでやろうかなって思ってたんですけど、やれないままだったので(((さらうんど)))でやってみようかなって。

Crystal:サンプリングを使った曲をやりたかったんです。1stアルバムではAhh! Folly Jet(東京スカパラダイスオーケストラやカヒミ・カリィなどのレコーディングに携わる高井康生のソロプロジェクト)の“ハッピーバースデー”をサンプリングした曲(“冬の刹那”)を作ったんですけど、今回もちゃんとサンプリングの許諾を取ってやりたいなって。佐野元春さんのようなビッグネームの方が、こういう文化に理解を示して許可をくれたのはすごく嬉しかったですね。

鴨田:でもこの曲をアルバムのどこに置くかは悩みました。この曲だけ「海外旅行の思い出」みたいに明るい曲だから(笑)。実際に、サンフランシスコに遊びに行った時の写真やTumblrで見た絵をパソコン上で並べて、そこから湧き上がってきた物語を歌詞にする手法で作ったんです。

―面白い手法ですね。

鴨田:Tumblrをやって、好きな色や構図を並べていると、自分の好みが明確になっていったんですよ。そういう嗜好が分かることで音や歌詞の両方において自分の好みをストレートに出せるようになりました。

―そういう意味では、自分が受け手として作品を見たり聴いたりして惹かれるものも、「絶望」を感じさせるものが多かったのでしょうか?

鴨田:どうだろう、そうだったのかなあ。芸術への感想や感情はあまり言語化しないようにしているんですよね。最近、SNSにアップされている写真を見て、文字情報的な写真と、文字情報のない写真があると感じて。例えば男女6人が「葉山に行きました」という写真の多くは、絵というより文字情報を伝えるために撮られている。その一方で、言語の外から撮られた写真もある。そうした写真に出会ったときに湧き上がってくる感情を、その場ですぐに言葉にせず、溜まってきてから言語化するということをやってる感じなんですよね。

■パーソナルな表現でも多くの人に届くものになり得ると思うんです。1人で深夜放送のラジオを聴いているときにこそ響くものもある。(Crystal)

―以前、鴨田さんは「言葉や歌詞で人に変化を与えたい、行動を促したい」というようなことをおっしゃっていましたが、今回のアルバムもそういう思いはありましたか?

鴨田:今回はあまりないですね。広い対象に向かって何かを言うというよりは、もっと独り言みたいな、独白的な感じが強い。前に日本語の曲だけでミックスを作ったときに、独白的な歌詞が好きだなって気がついて。

―誰かに向けて歌うことより独白的な感じが強いというのは、これまでの「ポップスをやりたい」という方向性が変わってきた話とも繋がりそうですね。

鴨田:はい。「多くの人に届けたい」という気持ちはもうあんまりない。いや、まあ、売れたほうがいいですけどね(笑)。

Crystal:でも、そうしたパーソナルな表現でも多くの人に届くものになり得ると思うんです。フェスで多くの人を盛り上げる音楽もポップスのカタチなのかもしれないけれど、1人で深夜放送のラジオを聴いているときにこそ響くものもある。今回はそういう刺さり方にしたかった。

鴨田:自分たちもそういうパーソナルな音楽を聴いて刺激を受けていますし。例えばハウスっていっても、SoundCloudにアップされている曲とかは、誰に発見されるかもわからないめちゃくちゃパーソナルなものもあるし、「独白」に近い。Pixivにアップされている絵とかもそう。パーソナルなものに惹かれていますね、今は。

■今回は特に音の異質さで人の意識を変えていくことを考えながら作りました。そうやって、いつもオルタナティブなものを提示したいって気持ちはありますね。(Crystal)

―世の中全体を見ても、これまでは長いあいだ「ポップス=恋愛ソング」みたいな図式があったけど、そういうものに共感する人ってどんどん減っているような気がするんですよね。今の10~20代は恋愛欲が薄れていると言われていたり、日本だけでなくアメリカでも未婚の人が増えているというデータがあったりする中で、恋愛ソングに共感する人ってどんどん減ってるんじゃないかなって。

Crystal:なるほど。そもそも恋愛系のポップスなんて、完全に虚構の世界ですしね。

鴨田:虚構の中に本音や真実を入れて、それを伝えるのが創作の面白いところで、恋愛ソングのように登場人物を2人にして、自分が相手に伝えるというふうにすると、届くスピードの真実性が増すというのはあります。だから、通常の恋愛ソングのように恋愛を賞賛したいわけでなく、その物語の中に伝えたい本音を入れて届けるというやり方はよくします。そういう異質なやり方で(((さらうんど)))の歌詞は作ってる感じですね。

Crystal:歌詞はもちろんだけど、音の選び方においても、既にあるものではない、ある種の異質さを感じさせるものを注入していくように心掛けました。それは人の意識に影響を与えたいからなんですけど。

―異質なサウンドが意識に影響を与えると。

Crystal:これはAphex Twinの新譜『Syro』を聴いて考えたことでもあって、彼があるインタビューで「なぜ不安定な音程を使うのか?」という質問に対して、「ドレミのような音階は人が便宜上勝手に決めた基準だから、あえてそこに当てはまらない音を使うことで人の意識を変えてみたい」って言っていたんですね。異質な音を聴くと、その人の意識が微妙にずれて、いつもと違う行動をし始めるっていう。今回は特に音の異質さで人の意識を変えていくことを考えながら作りました。そうやって、いつもオルタナティブなものを提示したいって気持ちはありますね。

鴨田:そうだね。最近は、ノイズや不協和音のような音楽を聴いても、それがアンダーグラウンドなものだという自覚がなくなりました。それが人間の中にある感情のひとつを普通に真っ当に表現したものなんだって。だから、ポップスにこだわるとかもうどうでもいいなって思ったんです。そういうことに立ち返り、音楽を聴いたり作ったりするようになりました。

Crystal:それは我々の意識の変化だよね。だから今、音楽に対してすごくモチベーションが上がっている。3枚目を作り終えたばかりけれど、もう次に向かって進み始めています。今、すごくいい感じだと思う。

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