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― 木村和久の「オヤ充のススメ」その63 ―
代官山のマンションを売ると決めて、大手不動産屋さんと5社と一般媒介契約を結んだが、3か月経っても進展せず。価格も2回下げ、これ以上安く売りたくない状況だった。
⇒【前編】『買うより難しい、中古マンション「売り」事情』http://nikkan-spa.jp/806967
さあ次の一手はどうする。実は次の一手は、相手側から連絡があったのだ。新宿の聞いたことのない中堅不動産屋さんの営業マンがやって来て、部屋を見るなり「この物件は絶対売れますよ。価格も妥当だし。是非売らせて下さい」と言って来たのだ。
実はその営業マン、日ごろネットで物件を見て、売れそうなお値ごろ物件を見ては、横やり営業をしかけてたのだ。そもそも売れてなんぼの世界、売れば当然手当も付くから俄然頑張るという。そうなると、中小の不動産屋さんの方がシビアですね。
新宿の新担当は、売り方を実に心得ていて、いきなりオープンハウスをしましょうと言って来た。当時部屋に荷物が3割ぐらい残っていたので、ダメだろうと思ってたが、別に出来ないことはないから、荷物をまとめておいて下さいという。
そこからが凄い。彼の論理で言うと、物件は特に代官山などの人気エリアは、近くに住んでいる人が買いたがる。それはこのエリアにこだわっているからだ。そうなると、やや古い物件に住んでいる人や、狭い間取りに住んでいる人に、物件を紹介すれば、食いついてくるはずだという。
オープンハウス前日から、ビラを作って、付近の古めの物件に撒きまくり。オートロックも超えれるとこは越えて、じかに入れたり、とにかくその撒き方が半端じゃない。
とある週末、のぼりを立ててオープンハウス開始でございます。確かに効果は抜群だった。お客さんは今まででは、一番来た。けど契約の話となると、前へ進まない。どうしたものか。結局丸2日が過ぎ、日曜日の夕方、のぼりを仕舞い、また来週にでもしましょうか、なんて言ってる時に、ひとりのお客さんが物件を見に来たのだ。
結局、最終的には、その物件を見に来た人が買ってくれた。担当が言うように、近所に住んでて、わりと古めの物件で、もっと新しいマンションはないかと探していたという。彼の予想通りの展開であった。
新宿の不動産屋さんには、今でも感謝している。彼がいなかったら、相当安い値段で売っていたかも知れない。それにもまして、大手不動産販売会社って役立たずだよね。
マンションを売る時は、誰が買うのか想定して、売った方がいい。理想は優秀な営業マンを見つけることなんだけど、それはなかなかいない。とにかくそう簡単に売れない。昨年、知り合いのご近所さんが、子供が大きくなったので、広い物件に移るために売ってたけど、売れるまで半年かかっている。それだけ体力がないと、凄く安く買いたたかれるんですな。
結局、マンションは見事売れて、しかもローンを差し引いても、そこそこお金が残った。人気エリアの物件は、すぐ売れないけど、価格はあまり下がらない。だから買うときに優良物件を買うことをオススメする。
北斗の拳で言うなら、あたたた~お前のマンションの売却価格は、すでに買ったときに決まっている~、そんな感じです。
■木村和久(きむらかずひさ)■
トレンドを読み解くコラムニストとして数々のベストセラーを上梓。ゴルフやキャバクラにも通じる、大人の遊び人。現在は日本株を中心としたデイトレードにも挑戦
※街の写真はイメージです。本文と一切関係ありません