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習近平政権が剣が峰だ。景況感の低迷が鮮明となるなか、中国人民銀行(中央銀行)が昨年11月に続く緊急利下げに踏み切った。5日の全国人民代表大会(全人代=国会)開幕直前に焦りを隠そうともしない。経済成長率の目標を引き下げて軟着陸を試みる習政権だが、「ハードランディング(墜落)」懸念が強まるばかりだ。
中国国家統計局と中国物流購買連合会が1日発表した2月の製造業購買担当者指数(PMI)は49・9だった。1月には景況判断の節目となる50を2年4カ月ぶりに割り込んだが、2月も不動産市況悪化の影響で、製造業の活動が振るわない状況が続いている。
前日の2月28日には人民銀行が先回りする形で金融機関の貸出・預金金利をそれぞれ0・25%引き下げると発表。昨年11月に利下げをしたばかりだが、再び利下げせざるをえないことで政権の焦りが浮き彫りになった。
人民銀は2月に入り、預金準備率の引き下げという別の緩和策も打ち出している。人民銀は前回利下げの効果が「一定程度」出ているとしたうえで、再利下げで「(企業などの)資金調達コストを引き下げる効果をさらに確実にする」と苦しい釈明に追われた。
全人代では成長率の目標を従来の7・5%から7・0%前後に引き下げることが予想されており、「新常態(ニューノーマル)」と呼ぶ安定成長路線を維持したい習政権は、実質的な改革を棚上げする可能性もある。
しかし、不動産バブルや影の銀行(シャドー・バンキング)など金融不安を抱えるなか、利下げや高速道路や空港の建設など、巨額投資路線に回帰することのリスクは大きい。
ノーベル経済学賞学者のポール・クルーグマン教授は昨年の来日講演で「中国の投資額は国内総生産(GDP)の48~49%というばかげた水準となっているが、成長率はどんどん下がり、債務水準が上昇している」と、もはや巨額の投資は維持できないと指摘している。
安定成長維持に失敗すれば、中国国内で社会矛盾が噴出する可能性もある。週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏はこう警告する。
「中国の経済危機は政治危機に直結する。経済問題を契機に農民や少数民族などが、共産党の権力基盤を奪おうと大掛りな闘争を挑む可能性が強まるというのが歴史の教訓だ」