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刑務所では「いじめ」が受刑者の娯楽になっていた

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刑務所では「いじめ」が受刑者の娯楽になっていた

刑務所では「いじめ」が受刑者の娯楽になっていた

 

男だらけの刑務所の中は、女よりも陰湿ないじめが横行している。それらは恨み辛みが根底にあるわけではない。工場と房を往復するしかない退屈な日常が続く受刑者たちにとって、娯楽程度の感覚でしかない。ときには死者も出してしまう危険ないじめの実態に迫る。

⇒【前編】「ヒエラルキーの一番下は元警官と自称ヤクザ」http://nikkan-spa.jp/810435

◆まるで中高生のようないじめのレパートリー

 法務省の最新統計(’13 年版)で把握されているだけでも、囚人が被収容者を殺傷・暴行した事例は2979件、誹謗中傷1324件、喝窃食191件とある。刑務所側にバレないよう意を尽くしていじめが行われていることを考えれば、この数は氷山の一角にすぎない。北関東の刑務所に入っていた原田力男氏(仮名・39歳)は悔しそうに当時のいじめを語った。

「工場に出たとき、刑務官から見えないように機械の陰に隠れたところに連れていかれてしょっちゅう蹴りやグーパンチされていました。運動時間になるとバレーボールをやるんですが、何度も顔面にボールをぶつけてくるんですよ」

 まるで中高生のようだ。ただ、最もポピュラーないじめは、さらに陰湿だと原田氏は続ける。

「法務省の統計は、刑務官がいかにボンクラかわかる数字ですよ。刑務所のいじめの横綱といったら、喝窃食つまり『シャリ上げ』に決まってますよ。殴る蹴るとか誹謗中傷の比じゃない。『大便禁止』とか不可能なルールを勝手に設定されて、破ったら罰としてごはんのおかずや、祝日に配られるお菓子を取り上げられるんです」

 大人の所業とは思えないが、実際いじめる側はなんのためにやっているのだろうか。暴力団関係者の杉本俊一氏(仮名・34歳)は、四国の刑務所に入っていた際の経験からこう分析する。

「完全に悪い娯楽の一環。みんなでゲームをやって、ターゲットが負けたときだけ罰として水を飲ませて、合計10リットル以上いっちゃうんだから。コップに入れた精子を飲ませることもあるし、毎日石鹸を食べさせることもある。緑のウンコが出るのを見て大笑いしている様子は、異常としか言いようがなかった。いじめの相手が嫌いだからっていう理由だけでここまでエスカレートしないと思う。刑務所という場所は、もう切実に娯楽が足りないの。いじめでもなんでも楽しけりゃいいんだよ」

 杉本氏は冷静に分析する口調だが、語られているその内容は、もはや娯楽ではない。閉鎖された空間が生み出すいじめはどこまでもエスカレートしていくのだ。

<取材・文/SPA!刑務所いじめ問題取材班>

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