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長く低迷した国内造船業界が円安と企業統合、構造改革を梃にして復活の兆しを見せている。円安の影響で国際的な受注競争力が増した上に、数年来継続させてきた社内の構造改革がコスト競争力を高める結果となっているためだ。また企業統合による生き残り策も功を奏し始めている。
■大型企業統合の結果が国際的価格競争力を増強
2008年以来国内の造船業界は急激な統合が進み、国内造船業界は5社体制へと収斂された。2013年にはユニバーサル造船株式会社と株式会社アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッドが合併しジャパンマリンユナイテッド株式会社が誕生し世界第4位の規模を誇る。
また三菱重工業と今治造船は主力のLNG船舶部門を統合させLNG専門造船所を2013年4月に設立し、すでに日本郵船から次世代型LNG運搬船の受注に成功している。また日本政府も1%の低利の船舶金融で造船業会を後押しする政策を進めており、今後、大型ドック増設計画も見込まれる。
■韓国造船業界は一転苦境に直面
韓国造船業界は2013年までは船舶受注が急増したが、2014年に新規造船プロジェクトが激減している。加えて円安ウォン高が価格競争力の低下を招いており、危機感が広がっている。絶頂期には31.1%を記録した造船海運市場シェアは低迷し始めており、20%台へと下落。労働力の安さから2014年には38.6%のシェアにまで猛追した中国造船業界に対抗してLNG船や大型コンテナ船など高い技術力を要する高付加価値船分野でシェアの拡大をはかってきた韓国だが、ここへ来て日本の猛追を受ける格好となっている。
国際造船・海運市況分析機関クラークソンによると2015年2月の世界船舶受注量は2009年9月以降最低の118万CGTを記録したが、韓国造船業界は58.1%の68万7000GCTを受注し、2位の中国、3位の日本を抑える形となっていた。だが、この先は予断を許されない状況となっている。
■1位のシェアを誇りながら技術力の差を埋めつつある中国
2000年に10%程度であった市場シェアを短期間で35%以上まで高めた中国の造船業は、技術力が急激に高まっており、日韓造船業との差を縮めている。英国エコノミスト誌は21世紀の造船業は中国の時代を迎えるとしているが、その一方で既に国内では中小の造船会社の淘汰も始まっており、価格面での過当競争から値引きによる利益の低下なども問題になってきている。…