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「おかしいな、花粉症でもないのに目がかゆい……」なんてときには既に手遅れになっている可能性も
花粉シーズンの真っただ中、くしゃみや鼻水などに悩まされている人も増えていることだろう。一方で、花粉症ではない人は普段と変わらない生活を送っているだろう。
だが、そんな人たちもある日突然、アレルギー症状が出る可能性があることをご存じだろうか。
花粉症はざっくりと説明すると、以下のような仕組みで発症する。
(1)花粉(抗原)が体内に侵入する
(2)かゆみや炎症を引き起こす化学伝達物質をたくわえている「肥満細胞」に、花粉に対する抗体(IgE抗体)が付着する
(3)花粉との接触を何年も何回も繰り返すうち、IgE抗体が付着した肥満細胞が増加する
(4)IgE抗体が付着した肥満細胞がある一定数まで増えると、アレルギーを発症する手前の段階である「感作」が成立。この時点で、アレルギー発症の準備が整ったことを意味する
(5)感作の状態で抗原が再侵入してくると、肥満細胞に付着しているIgE抗体が「抗原抗体反応」という反応を起こす
(6)抗原抗体反応に伴い、ヒスタミンなどの化学伝達物質がまき散らされることで、くしゃみや目のかゆみなどの症状が出るようになる
アレルギー反応の準備ができた感作の状態では、花粉症の症状はまだ現れない。ここからくしゃみや鼻水、鼻づまりなどの諸症状が出現すると、「花粉症を発症した」とされるが、発症するのは感作された人の3~5割とされている。
感作から発症に至るには、抗原すなわちスギ花粉などへの暴露量がある一定値を超えることが引き金となるが、その”閾値”に達するのがいつなのかを知ることはできない。だから、これまで発症していないからといって、「今後も発症しない」という保証はどこにもない。
厚生労働省も「大量の花粉に出会うと、体が花粉に対する抗体を産生する可能性が高くなります。スギに対する抗体をたくさん産生すると、何らかのきっかけでスギ花粉症を発症しやすくなります」と、注意を呼びかけている。
日本医科大学大学院医学研究科 頭頸部・感覚器科学分野の大久保公裕教授によると、一度感作を経てアレルギー反応が出てしまうと、その状態が”リセット”されることは基本的にはないという。すなわち、生涯花粉症と付き合っていかないといけなくなるということだ。
国民の4人に1人が苦しんでいるとされ、「国民病」とも呼ばれる花粉症。発症を防ぐための一番の予防法は、花粉を体内に取り込まないことだ。たとえ今は花粉症ではない人でも、花粉シーズンにはスギやヒノキなどの林にむやみに近づかず、マスクやめがねをした方が賢明だろう。
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