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オートバイに乗るようになってからしばらくの間、自転車に乗らない時期があった。久しぶりに自転車に乗ったときに思ったことは「乗り心地が悪いな」ということだった。考えてみれば当たり前で、普通の自転車にはサスペンションはついていない。
そこから想像すると、車椅子も乗り心地はあまりよくないだろう。サスペンションがついていないからだ。段差はもちろん、路面の凹凸からも細かい振動が伝わってくるだろう。
しかし、それを救済するホイールが登場した。しかも、かなり斬新な構造で。
■ スプリングを使ってハブをフローティング
クラウドファンディングのサイト『Kickstarter』で資金募集中の『Loopwheels』というものだ。なんとホイールのリム(外周)とハブ(中央)の間にスプリングが入っているのだ。そのスプリングが衝撃を吸収してくれるというものである。リムが変形するわけではなく、ハブに対してリム全体が移動するのだ。
そのユニークな方式のため、通常の自転車のフロントフォークやスイングアームのように特定の方向の衝撃しか吸収しない、ということはない。外周上であればどの方向からの動きも吸収する。
この機構によって、車椅子のユーザーは荒れた路面も悪路も、草の上も移動することができるようになる。大きい衝撃だけでなく細かい振動も吸収してくれるので、普段の街中での使用も快適になる。また、スプリングはトルクを増幅させてくれる働きがあるので、縁石を越えるのも楽になるという。
ホイールは頑丈で、メンテナンスもほとんど必要ない。また、クイックリリース機構と複数用意されたサイズバリエーションによって、様々な車椅子に簡単に取り付けることができる。
■ 自転車用が先行発売されている
実はこのホイール、2年前に折り畳み式自転車用20インチホイールとして『Kickstarter』で資金を集め、発売にこぎつけたものの車椅子版だ。自転車用のプロトタイプを製作し、『Kickstarter』で発表する前から車椅子用を出してほしいという要望があり、開発を始めたという。
車椅子用のホイールは24インチと25インチがある。スプリングはカーボン製でサスペンションのストロークは70mm。タイヤなしの状態で1.75kgの重量だという。
『Loopwheels』はロンドンのデザイン美術館が主催する『Designs of the Year 2015』の輸送部門において、6つの候補作品のひとつに入っている。…