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途上国向けのビジネスは、いま「BOPビジネス」と呼ばれている。Base Of the Economic Pyramid、すなわち経済ピラミッドの底辺にいる貧困層、という意味だ。とはいえ合計すれば40億人、600兆円ともいわれる巨大市場だ。
2015年3月19日放送の「カンブリア宮殿」(テレビ東京)は、そんなBOPビジネスの最前線で活躍する日本の中小企業、日本ポリグルの小田兼利会長(74歳)を紹介した。
■ビジネス企画だけした学生には「現地へ行け」
大阪市にある日本ポリグルは、従業員35人。規模は小さいが、世界40カ国で水の浄化ビジネスを展開している。アジア最貧国のバングラデシュやアフリカの危険地域にも、納豆のネバネバを原料とした独自の浄化剤を販売し、現地で運営できる浄水施設も作っている。
現地の人を雇い、浄化剤の普及・販売をする「ポリグルレディー」や、浄化した水を運ぶ「ポリグルボーイ」などの雇用も生み出し、永続的なビジネスを成立させている。現地をたびたび訪れるという創業者の小田氏は、こう語る。
「ボランティアだけでやろうとしていたら、息切れしている。ビジネスとしていかにすれば両立できるかが、私たちのテーマだ」
今年3月、BOP事業案を競う「40億人のためのビジネスアイデアコンテスト」が開かれた。全国から106組の応募があり、小田氏も審査員として最前列でプレゼンを見守った。
ある若い女性は「アフリカに健康と笑顔を届ける」をテーマに、「富山の置き薬」形式のビジネスモデルをプレゼンした。この女性に、小田氏は鋭く指摘する。
「預けるやり方だと、間違いなく売り飛ばされる。責任者を選んで、リスクを負わせないと収益性ゼロだ」
バングラデシュでのビジネスを提案したものの、現地には行っていないという男性には、「少ないお金でいいから、身ひとつで現地から始めた方がいい」と厳しくアドバイスした。小田氏は、コンテスト終了後の感想をこう漏らす。
「社会貢献なんて言われたら、私はアレルギーを起こす。そんなものじゃない。お互いに利益を出さないと。きれいごと言ってたらあかんのよ」
■カネ儲けの失敗が海外進出のきっかけに
日本ポリグル入社3年目の水野花菜子さん(26歳)は、大学院卒業後、ボランティアでなく民間企業として国際協力に関わる仕事をしたいと入社した。
自分の足と目で現地の状況を見なければ分からないという小田氏の方針でタンザニアに同行し、単独での現地調査も任されていた。…