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「日給7000円です。一応、8時間労働です。でも昼休みは45分。休憩は午前15分、午後15分の30分。学生バイトよりも条件はきついですよ……」
一昨年、大阪市内の地場機械メーカーを早期退職した平川芳雄さん(仮名・50歳)は、現在、大手ショッピングモールの派遣アルバイトとして勤務している。仕事内容は買い物カゴ、ショッピングカートの整理、駐車場内の清掃、その他ショッピングモール内での雑用の一切を担う。
雇用条件は、朝9時から夕方6時までの9時間拘束・約8時間労働。昼食時の休憩時間中は時給換算されない。時給875円で休憩時間30分を除き7時間半働く。
機械メーカー勤務時代は、「年収700万円程度」(平川さん)で、営業職として接待費も「2万円までならノーチェックで毎日でも使えた」という待遇に比べると厳しいものがある。
「条件面ではまだこのバイトはいいほうです。食事は社員食堂が使えるし、交通費も出る。前にいたバイト先は朝7時から夕方7時まで拘束。労働時間は9時間程度。食費なし、交通費込みで8000円でしたから」(平川さん)
企業側は中高年の心理につけこんでいる
今、こうした中高年を対象としたブラックバイト問題が表面化しつつある。企業側にとって40代後半から60代を対象とした非正規雇用の担い手は「企業側にとってはウマみのあるマーケット」(都市銀行調査役)だからだ。
「とにかく多少条件が悪くとも中高年は文句も言わず黙々と働く。収入が途絶えるのが怖いですからね。この傾向は男性・女性に違いはない。若年年齢層だと条件が悪ければすぐに辞める。こじれると労働行政に訴え出たりもする。中高年ならそうしたリスクは少ない。企業側もそうした中高年のフリーター層の心理につけ込んでいる節がある」(同)
そんな40代後半から50代、60代のシニア層を対象とする“中高年ブラックバイト”の実態に迫ってみたい。
中高年ブラックバイトにハマるのは、意外にもかつて正社員などの職に就いていた者、とりわけ営業職などのホワイトカラー職にあった者が多い。雇用制度、コンプライアンスがきちんとしていた企業に長年勤務していた者ほど企業側の「安く人をこき使いたい、使い倒したい」という希望とピタリと符合するからだ。
警備員のアルバイトをする吉田光明さん(仮名・57歳)は、大卒後新卒で勤めた印刷会社を53歳で退職勧奨後、ヘッドハンティング業者の斡旋で再就職した企業に馴染めずすぐに退職。…