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齋藤祐子[神奈川県内公立劇場勤務]
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3月末といえば、企業の決算株主総会が花盛りだが、IR資料に書かれた社会貢献活動も昨今は少々面変わりしているようだ。一昔前は、熱帯雨林への植樹だとか、どこかに井戸を掘るだとか環境関係の活動が多かった。
以前、さる大企業の社会貢献室の担当になったという人(男性)から、いきなり寄付やら社会貢献とはどんなものなのかという電話をもらったことがある。
今にして思えば、そんなところに配属されたものの、仕事人間で社会とのかかわりも薄く、社会貢献と聞いて何をすればいいのかわからなかったのだろう。自分の子どもの縁で地域にかかわらざるを得なかったり、趣味の活動も多い女性に比べて、男性は社会人としての幅が狭いらしい。
そんな男性陣が、一生懸命考えて「植林」やら「アフリカに井戸をつくる」といった企業の社会貢献活動をしてきたのが第一世代とすれば、その次のフェーズは、本業のかたわらその資源を活用して身近な(自分たちも問題だと感じている)社会の課題解決をするというものだろうか。
例えば、アメリカの金融機関が、リーマンショック後、無理なローンで家を失った人たちへの貸し付けへの反省から、子供向けの金融教育の必要性を痛感して、それをはじめるなどだ。日本でも、某銀行が子供向けの金融教育を始めている。
考えてみれば、保険や金融商品の勧誘をはじめ、カードローンや住宅ローンなど、社会人になるとすぐさまとりかこまれる出来事に対して、我々日本人はほとんど知識を得る機会がない。
それどころか、大学教育を受ける際に安易に借りる奨学金のローン返済が重荷になり経済破たんするという米国ではすでに社会問題になっている出来事も、経済格差が広がる中で問題視されはじめている。となると、大学生になる前に、マネーリテラシー(金融教育)を見につける必要があるということだろう。
さる服飾メーカーが始めた使用済みの商品のリサイクル(まだ使えるものは紛争地域などに送り、使用不能なものは工業用繊維にするとのことだが、ほとんどは使用可能だという)なども、軽くて暖かい新素材でブームを巻き起こした企業だけに、難民や震災後の地域の人たちに送れば喜ばれるだろうと想像がつく。服を作るメーカーとしての存在意義や社会の構成員の一員としての企業貢献のあり方に一貫性が感じられよう。
東日本大震災以後、様々なボランティア活動とともに企業も活躍したことは記憶に新しい。…