兵庫県洲本市の５人刺殺事件で、県の洲本健康福祉事務所（保健所）は１２日、殺人容疑で送検された平野達彦容疑者（４０）の家族から２００５年９月〜１４年１０月、容疑者と周辺住民のトラブルなどについて計６回の相談を受けていたことを明らかにした。
　
　　事務所の説明では、母親から１０年７月に３回、「息子がインターネットで近隣住民を中傷し、トラブルを起こしている」などと相談があった。精神状態や生活状況が主な内容だったため、事務所は「不安なら受診の手伝いをする」と伝え、トラブルがあれば警察に連絡するよう勧めた。
　
　　平野容疑者は５カ月後の１０年１２月、洲本署に保護され、医師が「緊急入院が必要」と判断。同県明石市内の病院に入院し、１３年秋まで入退院を繰り返した。
　
　　その間は相談が途絶えていたが、１４年１０月、母親が洲本の事務所と当時平野容疑者が住んでいた明石市の保健所に「息子が金を借りに来ると言っている。以前テーブルを蹴るなどの行為があったので怖い」と相談。明石の保健所職員らが平野容疑者と会った。その際は光熱費を滞納するなどしていたが、体調などに問題は見られなかったという。
　
　　洲本の事務所は「警察や専門医と連携していたが、対応が十分にできたか検証したい」としている。