理化学研究所の野依良治理事長（７６）が、今月末で辞任する意向を政府に伝えたことが６日、関係者への取材で分かった。ＳＴＡＰ細胞論文の不正を巡る理研の調査が昨年末で終了し、一連の問題の区切りが付いたと判断したとみられる。理研を所管する文部科学省も了解し、後任の人選を進めている。
　
　　野依理事長は現在３期目で、任期をあと３年残している。与党関係者によると、野依氏は高齢を理由に、理研が国から「特定国立研究開発法人」の指定を受ける環境が整った時点で辞任する意向を、早くから固めていたという。同法人は、高額な年俸で優れた研究者を集めることなどを可能にする制度。ＳＴＡＰ問題を受けて、関連法案の提出が先送りされていたが、下村博文・文科相は昨年１２月、今年の通常国会に提出する意向を示していた。
　
　　野依氏は２００１年に有機化学分野の研究でノーベル化学賞を受賞。理研が独立行政法人になった０３年１０月に初代理事長に就任し、０８年４月、１３年４月に再任された。ＳＴＡＰ問題では昨年１０月、不正を防げなかったことなどの責任を取り、給与を一部自主返納したが、引責辞任は否定していた。
　
　　後任は下村文科相が任命し、閣議での了解を経て、正式決定する。後任の理事長の任期は１８年３月まで。【清水健二、大場あい】