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経済史を振り返ると、これまでの35年間で最も重要な出来事は中国の台頭だ。その次にあげられるのがインドの成長である。ではインドはどのくらい速く成長できるのか。その答えはこうだ。インドはいま、世界最速で成長する主要国になるまたとないチャンスを迎えている。だが、それを実現するには、政策と実行の改善に力を入れなければならない。2014年5月に選出されたナレンドラ・モディ首相の政権はこれに取り組み始めている。
モノレール建築現場で働く作業員(2月27日、ムンバイ)=ロイター
国際通貨基金(IMF)によると、中国では1980年から14年にかけ、1人当たり国内総生産(GDP)が17倍に拡大した。一方、同じ時期のインドでは1人当たりGDPが4倍になっただけで、両国の間にはなお大きな隔たりがある。しかし、インドがこれまでに達成したことは注目に値する。何百万人という国民が生活水準の向上を実感しているのだ。
インドには多くの強みがある。正統性を持つ政治制度、若年層が多い人口構成、高い技術を持ち企業家精神にあふれた人材だ。先進諸国に追いつけるだけの力を持っている。
■「年率10%以上の成長軌道に」政府調査
IMFの資料では、14年のインドの1人当たりGDPは購買力平価で米国の11%にあたる。中国は10年前、すでにこの水準に到達した。インドにとって、この遅れは好機でもある。成長がすべてではない。だが、インドのように貧しい国民が多い国にとって、モノやサービスの不足を補い、成功の機会を広げるには成長が必要になる。
インド政府による今年の経済調査の結果は同国にとって喜ばしい内容だった。インドが「これまでの世界の歴史で極めてまれなスイートスポットに達し、その結果、中期的に年率10%以上が続く成長軌道にのるかもしれない」というのだ。
インド経済を取り巻く世界の環境も好ましい。とりわけ原油安や米欧経済の回復はよい材料だ。さきのインド政府の調査が指摘する通り、同国経済は減速に終止符を打ち、明らかに回復してきた。
10年以降の景気減速は高揚感をへこませた。投資のGDP比は08年に33%だったが、14年には28%に落ち込んだ。年率10%の成長を維持するには投資のGDP比が33%でも足りないだろう。中国がこの水準の成長を達成していたころ、投資のGDP比は35%を超えていた。これから大きな変化がない限り、年率8%が当面のインドの成長率の上限になるだろう。