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米カリフォルニア州マウンテンビューに建設される巨大なグーグル新本社のデザインは、昔どこかで見たような光景の未来像といった奇妙な外観だ。組み替え可能な建物群をうねったガラスの屋根が覆うさまは、モール、植物園、レジャー施設を組み合わせたようなものを連想させる。
そこには、都市の気候や将来の変化にうまく対応するよう設計された構造体が全て備わっていて、カリフォルニア郊外にある建築物としては好奇心をそそる。
新しいグーグル本社の外観=ロイター/BIG&Heatherwick Studio/グーグル
新本社の計画は、発表会など全く抜きで2月27日のグーグルのブログで発表され、10分の動画で英国のトーマス・ヘザウィック氏とデンマークのビャルケ・インゲルス氏という世界的に有名な2人の若手建築家が共同で設計した本社の外観を説明していた。
完成予想図には、人々が格子模様のドーム型のガラス屋根の下にある公園を散歩しているところが描かれている。オフィス施設は「柔軟性」を意図した設計だ。実際非常に柔軟で、組み替え可能な構造体でできており、作業パターンや需要の変化に対応してロボットにより組み替えられるよう設計されている。
その大胆な外観と2人の有名建築家を採用したことに大きな驚きはない。カリフォルニア州メンローパーク市にあるフェイスブックの新本社はフランク・ゲーリー氏が設計したし、アップルは、50億ドルを投じてフォスター卿が設計する同州クパチーノ市の本社建設に余念がない。IT企業は「スター建築家」に完全に魅了されてしまっている。
また、懐古-未来的設計という意味でもあまり驚きはない。ドイツの哲学者ペーター・スローターダイク氏は著書「バブル」のなかで、1851年の万博でロンドンに建設された水晶宮から、地球外生物の造形に至るまで、ガラスでできたものは近代の象徴的建築だと指摘している。
一方で、この有機ガラスによる超構造と生物との特殊なアイデアは、差し迫った環境破壊や核による世界の終末という戦後の妄想に端を発している。
小説家のデイヴ・エガーズ氏は著書「ザ・サークル」の中で、腹黒いIT企業に近い将来訪れる悪夢を見事に描いている。魅力的な本社建物が、映画「トゥルーマンショー」さながらに、実は全て監視下に置かれていくという悪夢を描いたものだ。グーグルの完成予想図を見ると、どうしても理想郷が暗黒郷に色あせていく姿を想像してしまう。