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Sansanが提供する一般ユーザー向け名刺管理アプリの『Eight』が、昨年末に100万ユーザーを突破。世のビジネスパーソンにとって不可欠なサービスとして、その地位を着々と固めつつある。
ユーザー数100万人を突破した『Eight』
この勢いの裏側には、きっと優れたグロース施策が打たれていたに違いない——。そんな仮説の下に『Eight』開発陣にインタビューを行ったところ、「最近になって大きな動きがあったという認識はない」という、そっけない答えが返ってきた。
しかし、さらに突っ込んで話を聞いていくと、ここへ来ての安定した運営を支えているのは、2013年に行った「大きな一つの転換」と、その後に続く「いくつかの小さな改善」の賜物であることが分かった。
マルチデバイスプラットフォームを捨て、開発体制を一新
(写真左から)『Eight』の開発を担当している永島次朗氏と桑田健太氏
2013年の「大きな転換」、つまりバージョン4.0へのアップデート以前、『Eight』のアプリエンジニアはAndroid担当の桑田健太氏ただ1人。現在iOSを担当する永島次朗氏はまだ入社しておらず、iOSの開発は外部に依託していた。
しかし、このアップデートを機に開発体制を見直した。
「それまではPhoneGapベースのマルチデバイスプラットフォームを使用し、HTML5のワンソースで開発していましたが、ワンソースの開発を辞め、iOS、Androidをそれぞれ別々に開発する体制へと移行しました。将来的に、それぞれのプラットフォームに合わせたデザインや、機能の細かなチューニングが必要となることが予想されたためです」(桑田氏)
今後の飛躍のため、既存の開発体制を刷新したという
テストや実装に掛かる時間や人的コストを考えると、効率の良いマルチデバイスプラットフォームでの開発は捨てがたかったが、日に日にそれぞれの特色を色濃くしていく両OSのUIや操作性の変化に危機感を覚え、大きな決断を下したのだった。
「『Eight』のユーザーはビジネスパーソンが中心ですから、毎日安定して使えることが必須条件。ワンソースで開発を行っていた時には、画面表示やアニメーションの滑らかさなど、パフォーマンスに課題を残し続けていました。この時の転換により、UIとパフォーマンスの両面で課題を克服できたことが、その後の伸びにつながったと思います」(桑田氏)
UIはよりシンプルなものへと刷新され、高い処理速度も実現。…