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これまで120超の黒板をジャック
「何これ、めっちゃすごい」「黒板じゃなくなってるし」「リアルすぎて、つま先から感動」
3月4日午前8時前、埼玉県の朝霞第四中に登校してきた生徒たちが次々に声を上げました。それもそのはず。3年生5クラスの黒板と廊下の窓にアートが突然現れたのです。
2011年に始まった、この「黒板ジャック」。これまでに12の学校で120を超える黒板に描いてきました。ムサビ生が外部講師として小中学校や高校を訪ねる「旅するムサビ」の一環として、学生が来たことをインパクトのある方法で知らせて企画を盛り上げようと始まりました。
単位もアルバイト代もなし
今回は「卒業」をテーマに、東京家政大(東京都板橋区)の学生も参加して前日に制作。2人1組で一つの黒板を担当し、チョークの先を削ったり、ティッシュや刷毛(はけ)でぼかしたり。黒板から離れて何度も構図を確認する学生もいれば、歌いながら描く学生も。
黒板ジャックは大学の授業ではないため、単位も出なければアルバイト代ももらえません。それでも学生たちは、児童生徒たちに美術の楽しさを知ってもらいたい、チョークでどこまで表現できるか挑戦したい--そんな気持ちで参加しています。
見る側から見せる側に
歓声が上がってから1時間もしないうちに、黒板の絵は生徒たちの手で消されます。通常の授業で黒板を使うため、始業開始前に消すのが黒板ジャックのルールなのです。それでも生徒たちの心には、美術の楽しさが刻まれているようです。
ムサビの2年生で、油絵を専攻している鈴木菜緒さん(20)は高校時代に黒板ジャックを体験。その感動もあってムサビに入学し、昨年末には「母校で黒板ジャックを」という希望を実現させました。「見る側と見せる側の違いを実感しました。絵を描くときに考える『人を魅(み)する』ということについて、客観的に考える機会になりました」と鈴木さんは言います。
黒板ジャックを主催しているムサビの三澤一実教授(52)はこう話します。「美術は体験しないと伝わりません。黒板ジャックを通じて、美術が日常と一体化して生活の中に息づいていることを感じてもらえれば」