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国内で企業や組織が「CSIRT(もしくはSIRT。セキュリティインシデント対応チーム)」を構築する動きが徐々に広まる中、サイバー攻撃などのリスクに絶えず晒され続けている米国の企業や組織では、セキュリティ人材の育成やSIRTの高度化に向けて先進的な取り組みが始まっているようだ。
●SIRTに不可欠な4つの要素
米EMCでSIRTの構築・運営の支援を手掛けるマイク・ハッカビー氏は、「米国では金融や重要インフラ、政府機関を中心に、SIRTや『CIRC(重大インシデント対応センター)』、セキュリティ運用センター(Security Operation Center)を構築し、インシデントへ包括的に対応する仕組みづくりが進んでいる」と話す。
ただし、米国でも多くの一般企業は、日本と同じようにSIRTの検討を始めたばかりというところが少なくない。こうした企業は、SIRT活動で先進的な企業やEMCのノウハウなどを参考にしながら、単にSIRTを構築するだけでなく、きちんと機能できるSIRTづくりを目指しているという。
ハッカビー氏は、企業がSIRTを運営していくために、次の4つ要素が不可欠だと解説する。
1. セキュリティの調査および分析
2. ツールと戦術
3. ワークフローとその実行力
4. 脅威に関するインテリジェンス
4つの要素は、いずれもSIRTの基本機能ともいえるが、特に(1)「セキュリティの調査および分析」と、(2)「ツールと戦術」は、人材の面から注目すべき要素だ。
情報処理推進機構(IPA)によれば、国内で情報セキュリティに従事する技術者は約23万人に上るが、2万2000人の人材不足が指摘されているとされ、約23万人のうち必要なスキルを満たしていると考えられる人は、約9万人にとどまる。セキュリティ技術者の不足は米国でも大きな課題だという。
「そこで、若い技術者がスキルを高められるツールやプロセスが必要だ。適切なツールがあれば、経験の浅い人でもセキュリティ情報を集めたり、分析したりできる。その結果をベテラン技術者に手渡し、より高度な分析を行っていく。若い技術者はベテランから学べるし、SIRTとしても効率的にインシデントに対応できる」(ハッカビー氏)
(4)「脅威に関するインテリジェンス」は、インシデント対応における“武器”ともいえる。インシデントの被害を抑止するには、インシデント自体を正しく理解することが必須であり、そのためには組織内部だけでなく組織外部の情報も積極的に取り入れ、分析する。…