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◇保護計画を発表
オーストラリア北東沿岸に広がる世界最大のサンゴ礁で世界遺産に登録されている「グレートバリアリーフ」について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が6月にも「危機遺産」に登録する可能性が高まっている。水質悪化などによって、最近30年間に分布域が半減したためだ。そこで豪政府と地元クイーンズランド州は、世界遺産海域での土砂の投棄禁止などを盛り込む初の保護計画を公表した。【阿部周一】
【地図】「グレートバリアリーフ」の場所
危機遺産に登録されれば観光産業への影響は避けられず、豪政府は2050年までにらんだ長期計画を提示することで、ユネスコが結論を出す6月の国際会議を前に対策をアピールする狙いがある。
豪海洋科学研究所によると、グレートバリアリーフのサンゴ礁分布域は1985年以降50%減った。原因の内訳は、サイクロンや暴風による損傷48%▽オニヒトデによる食害42%▽海水温上昇に伴う白化10%。肥料由来の無機窒素の流入増加によるオニヒトデの大量発生や地球温暖化が背景にあるとみられる。
さらに、石炭輸出の増加によって、11年以降、世界遺産海域内の港湾拡張計画が相次いで浮上。14年には300万立方メートルの土砂を海域に捨てるとするインド企業の港湾拡張計画を豪政府が了承した。これに環境保護団体などが反発、ユネスコも同6月の国際会議で懸念を表明した。
世界遺産が開発や自然災害、武力紛争によって価値が損なわれる重大な危機にさらされると「危機遺産リスト」に登録され、改善されなければ世界遺産の登録が抹消されることもある。
豪政府が公表した初の保護計画では、世界遺産海域での新規の港湾建設を禁止。既存港を拡張する場合も、海底を掘って出た土砂を海域内に捨てることを禁じる。また、無機窒素の流入を25年までに80%減らす。サンゴ礁の保護や研究に今後10年で20億豪ドル(約1890億円)以上を投じる方針も盛り込んだ。
ユネスコは、6月にドイツで世界遺産委員会の国際会議を開き、危機遺産登録の結論を出す。
【ことば】グレートバリアリーフ
南北約2600キロの海域に大小約3000のサンゴ礁と数多くの島々が点在する。面積は日本(約38万平方キロ)に匹敵する約34万8400平方キロあり、1981年に世界遺産に登録された。約600種のサンゴや1625種の魚が生息する。年間約200万人の観光客が訪れる。