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多くの人々にとって、「死」は恐ろしい存在だ。その漠然とした捉えようのなさに、途方に暮れてしまう。しかし、死んだ本人以上に途方に暮れるのが、残された人やペットではないだろうか。寂しい思いをするだけでなく、物理的に困ることだってあるからだ。
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人間と違って、主人に先立たれたペットは、どうするのだろう? 他にお世話をしてくれる人がいなければ、保健所で殺されてしまうのだろうか……? と、なんだか不安になってしまう。ところが、この世には飼い主が先立たれたネコたちのための、『養護ホーム』が存在するのである。「なにそれ、天国!?」ということで、詳しくお伝えしたい。
・飼い主さんと “はなればなれ” になったネコ
英イングランド東部に位置するリンカンシャーには、ネコにとって素敵な場所がある。それが『リンカンシャー・トラスト・フォー・キャッツ』というネコの家だ。“素敵” と言ってしまえば、少し語弊があるかもしれない。なぜなら、ここは飼い主と “はなればなれ” になったネコたちが集まってくる場所だからだ。
「飼い主が亡くなってしまった」、「飼い主が高齢で養護施設に入居する」など様々な事情から、これまでの家族とは一緒に暮らせなくなったネコたちが入居しているのだ。
・高齢ネコは貰われにくい……
そして、高齢者の方々が飼っていたということで、自然とネコも高齢なことが多いのだが、高齢になるほど、ネコさんたちは次の家族が見つかりにくいという……。もしも動物保護団体に引き取られても、次の飼い主さんが現れないまま月日は過ぎてしまう。
「なら、ネコたちの終の棲家を作ってしまえばいいのでは?」そう考えたジェーン・ヒルズさんが、1999年に『リンカンシャー・トラスト・フォー・キャッツ』を設立し、高齢ネコたちを受け入れ始めたのだった。
・76匹の高齢ネコが共同生活
現在、人間の年齢に換算すれば60~100才にあたる10才~20才の高齢ネコ、76匹が共同生活を送っているこの施設だが、ネコたちの「お世話料」は、入居時に支払われる850ポンド(約16万円)のみ。しかし、チャリティーストアや、寄付などでも、運営費がまかなわれているので、ネコたちは快適に暮らしているようだ。
7エーカー(2万8328平方メートル)の敷地に、日当たりの良いリビングルームが3部屋。ベッドやソファー、セントラルヒーティングなど、その上、シャイなネコ向けの個室。ネコが敷地外に逃げてしまわないように区切られた庭も完備されている。もちろん人間スタッフも、24時間体制でネコたちのお世話にあたっており、「医療ケア」や「質の良い食事」も提供されるのだ。
・毎年9月1日が一般開放日
ご主人を亡くして困っていた高齢ネコにとっては、まさに天国! ということで、「この “老ネコホーム” を見学してみたい」と思われる人は、年に1回一般開放される、9月1日のチャンスを逃さないように。
また先述の通り、同団体が運営するチャリティーショップもあるので、そちらに立ち寄ってもいいだろう。
・実はイヌ派の設立者
ところで、創立者のヒルズさんは、実はイヌ派なんだとか。イヌのこととなると感情的になってしまうが、ネコに関してはまだ冷静に対処できた……というのが、この「ネコの家」の設立理由の一つなのだから、なんだか面白い。
日本を含め、多くの国や地域に、飼い主を亡くしたネコのための施設は存在しているようだ。確かに、様々な事情から高齢ネコを施設に預けたい人はいるだろう。しかし、全てが『リンカンシャー・トラスト・フォー・キャッツ』のように、責任を持ってネコのお世話をしてくれる団体とは限らない。その施設がちゃんとネコのことを考えて運営されているか、チェックを欠かさないでほしい。
参照元:Lincolnshire Trust for Cats、Twitter [1]、[2]、Metro、examiner.com、(英語)
執筆:小千谷サチ