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マンガ家の辰巳ヨシヒロ氏(本名:辰巳嘉裕)が、3月7日18時49分に悪性リンパ腫のため死去した。79歳だった。葬儀は近親者のみで行い、後日お別れの会を実施する予定としている。
辰巳ヨシヒロ氏は1935年、大阪生まれ。戦後すぐの貸本時代から活躍を始めた。なかでも1950年代末頃に誕生した「劇画」の確立に大きな役割を果たした。「劇画の父」と呼ばれることも多く、日本を代表するマンガ家として国内外で知られている。
辰巳ヨシヒロ氏のマンガとの出会いは、中学時代の手塚治虫作品に始まる。これをきっかけにマンガ家を目指すようになった。1951年に長編『愉快な漂流記』でデビューした。
マンガの表現手法の探求に熱心で、映画的な表現の導入などリアリスティックな作風を確立した。これを「劇画」と名付け、その後の劇画ブームにつながった。
個性溢れる作品は、日本以上に海外で広く知られるようになった。2005年は世界的に知られるフランスのアングレーム国際漫画フェスティバルで特別賞を受賞、翌2006年には北米最大のコミックスイベント サンディエゴコミコンでも特別賞を受賞した。
こうした海外での名声の高まりから日本で再評価の機運が盛り上がり、2008年には自伝的長編『劇画漂流』が13回手塚治虫文化大賞に輝いた。
その『劇画漂流』をもとに、シンガポールを代表する映画監督エリック・クー氏が『TATSUMI マンガに革命を起こした男』を撮ったことは記憶に新しい。映画には生前の辰巳ヨシヒロ氏も出演している。