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ムンバイの郊外、新興の産業地域でもあるナビ・ムンバイにある「ダス・オフショア・エンジニアリング」。創業者で社長のアショクが、工場を歩きながら従業員たちに指示をだしていく。海底石油採掘用のパイプを製作するこの会社は、インド経済成長の波に乗り成功した多くの企業のひとつだが、ユニークなのが、アショクがダリットの出身であるということだ。ダリットとはいわゆるアンタッチャブル(不可触民)のことで、カースト制度にも含まれない最底辺の階層のこと。子供の頃は、差別のために村の井戸から水を飲むことさえ許されず、極貧の彼の家庭には食べ物が全く無かった日さえあったという。50年以上も前に法律上ではカースト制度は廃止されたが、現在でも結婚や社交をとおして生活のなかに根強く残る 。
アショクの人生を変えたのが、彼自身の聡明さだった。学校の成績は常にトップクラス。仕事についてからも勤勉さと頭の回転の速さで頭角をあらわし、ついには自ら会社を立ち上げるまでに至った。現在の従業員数は4500人を超える。
インドの金持ちには鼻持ちならない態度の輩が少なくないが、アショクは従業員たちにも温和で気くばりがある。
「苦労を知る者ほど他人に優しくできる」
僕はこんな言葉を思い出した。
(2011年10月)
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高橋邦典 フォトジャーナリスト
宮城県仙台市生まれ。1990年に渡米。米新聞社でフォトグラファーとして勤務後、2009年よりフリーランスとしてインドに拠点を移す。アフガニスタン、イラク、リベリア、リビアなどの紛争地を取材。著書に「ぼくの見た戦争_2003年イラク」、「『あの日』のこと」(いずれもポプラ社)、「フレームズ・オブ・ライフ」(長崎出版)などがある。ワールド・プレス・フォト、POYiをはじめとして、受賞多数。
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