[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ただいまコメントを受けつけておりません。
【サッカーゲームキング2015年4月号増刊 『CALCiO2002』掲載】
シーズン序盤こそ好調だった本田圭佑とミランだが、その後はペースを落とし、今は不振に苦しんでいる。本田に対するフィリッポ・インザーギの信頼は変わらないが、指揮官自身も今では立場を危うくしている。もともとミランは開幕から問題を抱えていたが、本田のゴールラッシュによってそれは隠蔽されていた。チームが調子を崩すと、本田は自己犠牲精神を過剰に発揮してしまい、そのために彼自身も道に迷ったのである。
Text by Giovanni Battista OLIVERO
理想を模索し迷走するミラン 帆を失った小舟のような本田
セリエA第24節のミランvsチェゼーナ。ロッソネーリにとってこの2カ月で2つ目となる勝利を告げるホイッスルが鳴る。本田圭佑は足早にロッカールームへとつながるトンネルへと足を運んだ。その表情からは、勝利の喜びも、控え選手となったことへの不満も見えてこない。ミランの背番号10は、いつもと同じように淡々と振る舞っていた。
今シーズンの本田にとって、ベンチに座ったままプレーしなかったのはこの試合が初めて。アジアカップでチームを離れていた時を除けば、本田はいつもミランのプレーの中心にいた。アジアカップ終了後、チームに合流してすぐのコッパイタリアでも、途中出場でピッチに送り出されていたのだ。フィリッポ・インザーギ監督からの信頼は変わらないにせよ、これは決して小さくない変化である。
ラツィオに3-1で勝利した開幕戦から、本田は素晴らしいパフォーマンスでミランを牽引した。クラレンス・セードルフ監督の下で苦しみ抜いた昨シーズンとは全くの別人で、偉大なカンピオーネとして、決然とした態度でプレーしていた。当時の彼は、何の気遅れもすることなく、伝統あるミランの10番を堂々と背負い、サン・シーロのピッチ上で躍動していた。ゴール、アシスト、抜群の運動量、さらには守備面での貢献まで。そのパフォーマンスは、「セリエA最高」とまでは言わないが、間違いなく「セリエAのベスト10に入る選手」だった。
10月19日の第7節ヴェローナ戦で、本田はセリエAで初のドッピエッタを記録し、3-1の勝利の立役者となった。それまで7試合6得点と、本職のストライカー顔負けの数字を記録していた。だが、そこを頂点として、その後は徐々にパフォーマンスを落としていった。…