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どうせなら一生に一度は住んでみたいシェアハウス……私なんかはそんな風に思って実際に住んでいるのだが、住まない人生を選択する人もいるわけで。というか、いくらシェアハウス流行りとは言え、住まない人生を送る人の方が多数派であるのが現状で。じゃあ、シェアハウスに住む人とシェアハウスに住まない人を分けているものは何だろうか? 先に結論を言ってしまえば、キーワードは「居場所」だと私は思う。
■シェアハウスのキーワードは「居場所」
「居場所」といえば、以前、都知事選に出馬した家入一真氏は「居場所がある街・東京」をスローガンに掲げていた。かつて引きこもりだった経験を持つ家入氏自身Liver邸というシェアハウスの運営もしていて、「どこにも居場所がない、自分は社会からはみ出た存在だ」と感じている若者たちを受け入れるようなしくみづくりに情熱を持っているようだ。
こう書くと「居場所」という言葉が途端に切実なものに聞こえてくるが、それもそのはず、私たち大多数にとっての「居場所」はあって当たり前のものだけど、彼らはそんな当たり前のものさえ得られていないからだ。
「居場所」の代表例を挙げてみると、一番ベースになるのは、家族。その次に、学校や会社。あるいは、地元の仲間。日本人にとっての居場所は概ねその辺りだろう。「あなたはどこの人か?」と聞かれたとき「どこどこの人です」と咄嗟に答えるような場所、つまりは帰属意識を持っているコミュニティ、それが居場所だ。
18歳から地元を離れて上京した私も、最初の居場所は大学だったし、社会人になってからの居場所は会社も含めた“業界”だった(筆者は元美容業界誌の編集者で、社会の中では『美容業界に籍を置いている』という感覚だった)。会社を辞めてフリーランスになった今はと言うと…シェアハウス、である。私は会社を辞めることにしたからシェアハウスに移ったのだが、ぐっと引いた目線からその現象を捉えると、要は「居場所替え」をしているのである。
■シェアハウスに移るときは「居場所替え」のタイミング
恋人と別れた直後にシェアハウスに入ってくる人は、かなり多いです。シェアハウスに入ってきたとき「付き合ってる人いる?」と聞いたら「いるよ」と答えていたのにほどなくして「別れちゃったー」と言う人。もう、あるあるもあるあるですね。これらも、「居場所替え」現象。ステディな相手というのも1つの居場所である。これまで慣れ親しんできた居場所にぐらつきを感じている“地殻変動期”に、自分の身に起きている状況を察知して、次なる居場所へ身柄を移しているのだ。
つまり、シェアハウスに入らない人というのは、精神的居場所を変える必要性をとくに感じない、安定的な居場所に居続ける人であり、シェアハウスに入る人というのは、自覚的であれ無自覚であれこれまでいた精神的居場所の重心を多少なりとも変えようとする人である。結婚という一大ライフイベントに至る前に。だから、シェアハウスに住む人は、現状キープよりも変化することを自ら選び取った人という意味で、冒険家的気質というか、積極度高めの人種、ちょっとエネルギッシュな人、そういう傾向があるように思う.
■安定期と安定期の狭間にシェアハウスがある!?
そして、結婚を機にシェアハウスを出て行く。オープニングから3年目を迎えたうちのフェーズは、「今ココ!」である。この“寿退居”が目下多発中なのだ。もちろん、今まで出ていった人が全員結婚のために出て行ったわけじゃないけど、みんな第2の地殻変動期をそれぞれに迎えて次の新天地へと移っていく。ということは、シェアハウスというものは多かれ少なかれ、安定した居場所から次の安定した居場所へ移行する間のバッファー的な居場所、独身男女の“精神的仮設住宅”という面があるかもしれない。
ちなみに、シェアハウスが東京に集中しているのは、日常生活での“地元”を失った地方出身者が多いからだと思う。地元に住んでいれば、家族もいるし、職場もあるし、地元の仲間もいるし三方良し。居場所の安定感は抜群、ぐらぐら感はほぼゼロ。地殻変動が起こりにくい状況にあると思う。東京暮らしの安定的な居場所といえば、会社か恋人くらい?そこへ出現した第3の選択肢、シェアハウス。現在会社も交際相手も持たない私が病まずにいられるシステムが今の東京にあってほんと、良かったな!
文/奥麻里奈
都内のオフィス複合型シェアハウスに住む、フリーランスの三十路ライター。2012年1月からシェアハウス生活をスタートし現在も居住中