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2年半前に尖閣諸島を巡る日中紛争が勃発した際、欧米の海外の論調は石原慎太郎氏に厳しかった。英経済誌「エコノミスト」は12年9月、「海外で大きく響く『日本のナショナリズムの高まり』~石原氏が火を付け、メディアがあおる」と題した論評を掲載。「日本はアジア諸国からの非難の嵐にさらされている。国粋主義の政治家が一人いるだけで、近隣諸国とのこじれた関係をほぐす積年の努力が無に帰すこともある。近年におけるそのような「一人の政治家」は石原慎太郎氏だ。自民党総裁に安倍晋三氏が選ばれたことで、今後の国策の主流に極右派の意向が入り込む可能性がある。国内における反中感情の高まりは、こうした大衆主義者の目論見に有利に働くことになる。日本における大衆的ナショナリズムの高まりは、メディアのあおりに乗せられた結果である」と喝破した。
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知日派のジェラルド・カーティス米コロンビア大学教授は同月、「今回の領土紛争問題で最も愚かで無責任な政治家は、(竹島に上陸した)李明博・韓国大統領と日本の石原都知事である。自分の人気取りに外交を使う事はよくあるが、自国が実効支配している地域であのような行動を取ることは、国の利益に反するだけで、全く国益に貢献しない。このような派手なパフォーマンスで、国益を損なうのは、とびきり愚かで無責任な政治家としか言いようがない」と批判した。
現実の国際問題においては、実効支配する側が圧倒的に有利な地位に位置することは明らかだ。ところが、領有権問題は存在しないという日本政府の言明にもかかわらず、国連での双方の演説を通じて、争いの存在することが世界中に知れ渡ってしまったのである。
◆フォークランド紛争の教訓
世の為政者は内政問題に直面している時に、外に敵を作ってナショナリズムをあおり、世論の支持を得ようとする誘惑に駆られるらしい。特に「領土問題」は国民の感情に訴え支持を集める、またとない媚薬となり得る。数々の悲惨な戦争を経験したヨーロッパでは排他的ナショナリズムをあおるのは「禁じ手」とされ、特に「領土」を政争の材料にする政治家は「最低」との烙印を押される。領土問題は古今東西、ほとんどの戦争の引き金となってきた。第1次、第2次大戦という史上最大の悲劇の誘因はドイツ、フランスなど国境問題だ。その反省から欧州連合(EU)はつくられた。
筆者がロンドン特派員として30年以上前に取材した、英国・アルゼンチン間のフォークランド紛争(1982年)は示唆に富む。…