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日本人観光客6名が死傷した、チュニジアの首都チュニスにおける国立バルドー博物館襲撃事件。日本人はテロの巻き添えをくっただけなのか、それとも狙われていたのか意見は割れるところだが、この事件は間違いなく卒業旅行に続き、春の旅行シーズンにも大きな影響を与えている。今後、少しでも安全な海外旅行を目指すのであればどのようなことに注意していくべきであろうか。
このたびの観光客襲撃事件の実行犯のうち、2名についてリビアに渡りISの訓練を受けて帰還していた者との情報がある中、ついに過激派組織「イスラム国(以下IS)」がインターネットを通じて音声で犯行声明を出したことが伝えられている。これが日本人観光客を狙って行われたのだとしたら、ISが放った“悪夢の始まりだ”との警告がいよいよ実行に移されたと考えなければならない。
この画像は、日本の『外務省 海外安全ホームページ』のチュニジア渡航に関する注意喚起のマップである。色が濃くなるにつれて危険度が上がり、このたびの観光客襲撃事件を受けて現在は「渡航の是非を検討してください」にレベルが上がったが、首都チュニスはこれまで長いこと黄色(十分注意してください)で示されていた。人気の旅行先であるインドネシアのバリ島もずいぶん前からこの黄色であり、「スリに気をつけ夜間の外出はできるだけ控えましょう」程度に解釈していた人がほとんどであろう。
テロ関連の心配が少しでもある旅行先の場合、こうしたマップや在留邦人向け安全の手引きもよいが、もう少し踏み込んだところではその国の日本国大使館や総領事館のホームページを確認することが望ましく、さらに各領事がこまめに情報を発信してくれるFacebookやメルマガを利用することも大変有用だと筆者は考える。1か月ほど前から東南アジアのいくつかの国、観光都市に関してそうしたものを閲覧していたが、そこにはテロのターゲットや犯行が起きやすい場所に関する重要なことが複数示されていた。おおまかにピックアップするとこうなる。
1.米国や連合軍に加担し、テロを強く非難した国家の国民が命を狙われる一方で、誘拐に関しては裕福な華僑あるいは中国人投資家などに注意が呼びかけられている
2.イスラム教徒としての誇りや厳しい戒律を忘れ、民主化を進めて発展を遂げている国、欧米の文化に迎合している都市は狙われやすい
3.世界から観光客が訪れるような有名観光名所、観光施設、ホテル、デパートで犯行が起きやすい
4.リゾート地においては欧米人の客で繁盛しているクラブやレストランで犯行が起きやすい
5.密かにIS入りした不満分子がこれまで多数確認されている国は、その情報収集と水際対策に懸命である
チュニジアについては2.と3.と5.があてはまり、1997年のエジプト・ルクソールでの外国人観光客襲撃事件、2002年のインドネシア・バリ島でのディスコ爆弾テロ事件を思い出さないわけにはいかない。…